額を出してみた
響が手慣れた様子で僕の髪をヘアピンで止めていく。
前髪にサイドに、ほぼオールバックと言ってもいいほどに髪を後ろ側で止めた。
視界が広がるのはいい事だ。響の顔もよく見える。
「うそ!」
「やばいって!」
「あれだけダサかったのに!?」
「響様と並んでも違和感ないなんて!」
響の親衛隊がざわめき出した。急に色めき立つ親衛隊の興奮具合がよくわからない。材料なんて提供した覚えはないぞ?
「何を戸惑っているんだい、琢磨?」
響は首を捻る僕の顎を右手で持ち上げて自分の視線に合わせた。
「食べたいくらいに可愛いよ、琢磨」
「きゃー!響様!」
「攻めの響様も素敵!」
「いくら格好いいからって惚れても無駄だからね。琢磨はボクのものだから」
響はそのまま露わになった僕の額に唇を落とした。
「ああーん、ご馳走様です!」
「私にもやって欲しい!」
「眼福、眼福」
「こら!廊下で何を騒いでいる――ごほん、まあ、あれだ、あまり騒がないように。もう放課後なので用事のない生徒は速やかに帰宅するように。以上だ!」
騒ぎの中心にいる僕達を確認した学年主任の先生は急にトーンを落とした。そして言いたい事を言い終わると回れ右して職員室に戻って行った。
「それじゃ、皆んな、また明日!気をつけて帰るんだよ」
「「「「はい!響様!!!」」」」
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