(職員室にて3)行間パート
向こうでコソッと退室しようとしている校長先生に声をかける。
「校長先生!備品購入費をちょろまかしてネコババしてる場合じゃないですよね?」
「な、な、何をいきなり、失礼な事を言うんだね!」
校長を人身御供に逃げ出そうとしている教頭先生も当然ながら逃がさないよ。
「教頭先生!離婚成立前の人妻に手を出すのは立派な犯罪ですからね。奥様にはもうバレてますよ。今日あたりには教育委員会に内容証明届くそうですし、今までお世話になりました。お世話になった記憶ないですけど。教職離れてもお元気で」
「な、な、な、な――」
壊れた機械のように同じ事を繰り返す教頭先生はその場に座り込んでしまった。
「牧村先生!あ、実名はまずいかな?まあ、犯罪者に気を遣っても仕方ないよね。
たかがいじめの首謀者だからって、逃げ切れると思ってたら甘いですよ。過去にも何人かの生徒に手を出して二人妊娠させてますよね?
堕胎承諾書へサインの偽造は立派な公文書偽造ですからね。まあ、未成年に手を出した時点で犯罪なんですけど、この学校じゃあ黙認されてるみたいですね」
「黒川!いい加減な事を言ってるとぶっ飛ばすぞ!!」
「教師が体罰発言しても許されるとかもう末期だよ」
「うおぉぉお――」
背後から奇声を上げて殴りかかってくる牧村先生先生のパンチをかわしながら、鳩尾目掛けて肘を入れておく。苦痛で一瞬動きの止まった牧村先生の腕を掴んで一本背負い、奥にいる教職集団に向かって投げ飛ばした。
本当はきっちりと地面に落とさないと危ないけれど背中から飛んでいく分には問題ないだろう。
他の先生に対する威嚇を狙ってやってるわけだけど。彼らにとっては疑心暗鬼で身動き取れないのが現実だろう。
隣の響を見ると"うんうん"と頷いている。どうやら満足そうで良かった。
幼い頃から散々、響に技をかけられて鍛えられたので、ある程度は返し技が身についている。スケコマシのサヤ男に負けるはずが無かった。
「教師に手を挙げるとは――」
「あれ?きちんと目がついていますか?今のは明らかに正当防衛ですよ?」
「いや、私にはお前が先に手を出したように見えた!」
「そうですか?田中先生にはそう見えたと?じゃあ今付き合ってる今村先生とは人妻になる前に手を出したから不倫じゃないと?俺の女に手を出した旦那が悪い!って主張ですか?」
「なぜそれを!」
田中先生が反射的に今村先生の方を見る。今村先生は必死で手と首を横に振って自分が言ったのではないと否定した。
もうどう見ても二人できています、って自白してるのを自覚していないらしい。やれやれだよ。
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