響の怒り

ただでさえ我慢しているのにさらに我慢しろというの?


 そんな怒りしかなかった。


 みんなの希望する姿を演じて楽しんで貰っているつもりなのに私の幸せを奪う?


 そんな事は許されない。


 確かに最初は楽しくて演じていた。それは本当だ。それでもいつからか義務と化して苦痛を感じる様になった。


 その辺りからだと思う。琢磨に依存するようになったのは。


 幼馴染という事で裏も表も、不都合な過去も、全て知られている。なのに飄々として側にいるだけ。権利を主張するわけでもなく、義務を求めるわけでもない。


 ただ側にいて私の邪魔をせず、苦しい時に振り返ると差し伸べられる救いの手。何もかも見透かされといる様に感じた。この恋心も。


 今更離れる事なんて出来ない。


 となれば、私の取る行動は一つしかなかった。

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