二人の交換日記 皐の月

ー玉苗植える皐と呼ぶ月/5日 (陽)ー


今日はとんだ一日になった。

朝っぱらからお前のお守りをさせられ、一昨日の不審者は何故か迷子になっているし、低俗な食事処には連れて行かれるし、疲れた。

あの低俗な食事処にいる奴らは店員も客も頭にくるほど喧しいし、馴れ馴れしい。

この私に敬語も使わず、平気であれこれ話しかけてくるなんて、あり得ないだろう。

それなのに、料理はそれなりに、食えたものなのがさらに腹立たしい。

あんなところにばかり行っていたら、耳が馬鹿になるし、頭まで馬鹿になりそうだ。

馬鹿なお前が行きつけにしているというのも納得だな。

あの店に行って馬鹿になったのか、馬鹿が集う店なのかはわからんが。

もし、またお前が行くというなら、私もついていくことにする。

お前がこれ以上馬鹿になって、迷惑を被りたくはないからな。



ーたまなえを植えるさと呼ぶ月/6日 桂の日ー


まったくひどい事言うんだから!ん?ひどい事書くんだから!の方が正しいかな?

でも、いいよ!また一緒にご飯食べにあの店に行ってくれるならなんでもいいよ!楽しみだなぁ!

それにしても、ラストをきちんと家まで送り届けられなかったけど、大丈夫だったかな?

店を出てちょっと歩いたところで、ここまでくればわかる道だからって。

最後まで送るって言ったけど、邪魔しちゃ悪いからって遠慮されちゃったけど……ちゃんと帰れたのかな?



ー玉苗植える皐と呼ぶ月/7日 (炎)ー


自分で帰ると言ったのだから平気なんだろう。

それよりあの男、別れ際に、二人の邪魔しちゃ悪いから、とか言って去っていたが、あの時、私たちは何もしてなかったよな?

何の邪魔になると思ったのかはなはだ疑問だ。

まったく素性も知らぬ者というのは、常識も違うものなのだろうが、何故かあの一言は鼻についた。

しかし、城に、ほど近いあの街で迷子とは、よほどの田舎者か大国の外の者だろう。

お前はあの男にずいぶん懐いていたようだが、用心しておけよ。

気疲れと腹立たしさで、また頭が痛くなってきた。

今日の小言はここまでにしておく。




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