第25話 勇者よ、我らチンスタンの勝利だ


最近月の形が変になったという話を聞くことも珍しくなくなった。

まぁどうでもいい話だな。


「きーらーきーらーひーかーるーよーぞーらーのーちーんー」


歌いながら毎日の日課である暴帝崇拝の時間を迎える。

我がチンスタンティノープルでは前代暴帝の死を受けて今こそ結束すべきだということで毎朝、俺のチンスタンティヌス二世への祈りを捧げる時間を設けることにした。


それがこの暴帝崇拝。

暴帝のご尊顔を民に見せながら、チンスタンの民に祈りを捧げさせるのだ。


「わ、我々チンスタンの民は今日も王都繁栄のために」


どうのこうの言っている月の民達。

俺が崇拝の仕方を教えてやった。


感謝しろ。

彦星や他の男の月の民は奴隷のエリアで強制労働だ。

生かしてやるなんて俺は優しいな。


「よし、今日の祈りの時間は終わりだ」


俺はそう言うと織姫の変なマフラーみたいな衣装を剥ぎ取る。


「余計な装飾は付けるな。我が王都では全裸を推奨している」

「は、はい!すいません!ファラン様!」

「よいよい。気にするな」


他の月の民を見ながら告げる。


「着替えなど無駄な事はやらぬべきだな。どうせ脱ぐものを着るなど無意味なことだ。と俺は思う」


そう言いながら俺は月の民共を見てやる。


「さぁ、今日も元気に乱れようぜ」


そう告げて遊んでいると


「くっ!」


血塗れのカイラが瞬間移動してきた。


「また劣勢になったのか?」

「うん。途中で戦線復帰して出てきたルゼルが変な武器で敵を蹴散らしていたんだけど」


あーあれは変な武器だったな。

今のこの月の民がいる異様な状況も全てあの変な武器から始まった。


「どうしても勇者エルザに勝てない」


そう告げてくるカイラ。


「仕方ない。王である俺がそろそろ出撃するタイミングかもしれないな」


そう言って座っていた岩から立ち上がる。


「鬼神のようなエルザに私たちは手が出せない」

「奴には弱点がある。大丈夫さ」


俺はそう言うとカイラにここで休んでいろ、と告げると


「くっ……エルザは本当に強いですね」


シエスタも瞬間移動してきた。

それ程までにエルザが鬼神のように動いているらしいな。


2人に休んでいろと伝えて俺は戦場に向かう。


戦場に向かうと魔王様がまず目に入った。

最後の殿としているらしい。とりあえず状況を聞いてみるか。


「どうしたんだ?魔王様」

「不味いことになっている。エルザの力が予想よりも遥かに上でな。このままではクリスタルの加護があって押し負けるだろう」


魔王様は俺が追放された辺りのエルザの実力は知っていたらしく、その辺りから考えて今の戦闘能力ならここまで戦いは長期化しなかっただろうと見ていたようだが


「あの女、別離、喪失。何があったのか分からないが装備は二流でも前の10倍の戦闘力がある。何か大事なものを失ったのだろう」


そう言ってくる魔王様。

あれまでにあったことと言えば俺がヒルダを犯してあいつから奪い取ったことくらいだな。

まさかそれでパワーアップしたとでも言うつもりか?


そう言えばあいつはよくヒルダに言い寄っていたな。

レズだったのかもしれない。


それを俺が無理やり犯して連れ去った。

そう考えると全て納得出来るのである。

復讐鬼にもなるというものだ。


戦場を見ていると本当にエルザは1人で魔王軍を相手に戦っていた。セイレーンは既に倒れていたのにあいつ1人で気力だけで立っているようだ。


雑魚モンスターは一瞬にして蹴散らされている。

このまま続けても無駄だろう。


「雑魚を撤退させなよ。これ以上使っても被害が広がるだけだ」


そう言ってみると魔王が頷く。


「くぅ!」


残っていたトキノが魔力切れか倒れてしまった。

そこに


「死ね。魔王軍のクズが」


剣を振るエルザ。

その時

ビュルルルルルル!!!!!と情けない音を鳴らしながら何かが横から飛んできた。


それは白い液体。

ルゼルの持つ聖剣から放たれたものだった。

それがエルザの剣の動きを阻害して


「頼れるようになったじゃないか。ありがとうルゼル」


そう言ってトキノは瞬間移動で撤退したが。

この後どうするのかと見ていたらルゼルもビビって瞬間移動で撤退していた。


どうすんだよって魔王様に目をやったらいなかった。


戦場に目を戻すと、魔王様が立っていた。


「私は退かぬ。ここで退けば終わるだろう」


そう言って戦う魔王様だったけど押されていた。

今のエルザを見て思う。


これなら俺も少しばかり本気を出してやってもいいかもしれないな。


「死ね、魔王」


ダウンした魔王様に向かって首を断ち切るラインで剣を振ろうとしていたエルザの剣を


「​────来いよ聖剣」


俺はそれを聖剣で受け止めた。


「き、貴様ぁぁぁ!!!!ファラン!!!!!」


俺の聖剣を見て驚いているらしいエルザ。

取り乱して下がる。


「お前はどこまでふざければ気が済むのだ!!!!」


俺はふざけてなんかいないさ。

大真面目に立っている。


だが挑発するように声をかける。


「見ろよ、このヌメリ輝く聖剣エクソカリバーを」


俺は自らの一部を巨大化魔法を使い聖剣に変えた。

硬化魔法を何重にもかけてある。


そして右手にアイスソード、右手にファイアソードを作り出した。

つまり、


「これが​───────三刀流だ。更に口で1本咥えたら四刀流だぜ?!更にケツで挟んだら​───────五刀流だ。想像してみろ?恐ろしいだろ?」


実際に自分で想像したら余りにもマヌケな奴がそこにいた。

おい、そこのお前、ケツで剣を持つな。


「貴様ぁぁぁ!!!!」


今まで落ち着いていたエルザが激怒した。

そう、これこそがこいつの弱点。


エルザの剣を俺は聖剣ではじき飛ばした。

こいつは処女だから俺の聖剣を見せられると戸惑い、冷静な動きが出来なくなる。

それがこいつの弱点。


「わ、私の剣が!!」


弾き飛ばされた剣を見つめるエルザ。


「がら空きだぜ!形状変化!槍になれ!」


聖剣を槍に変える。


突き!突き!突き!


俺は腰を突き出してリーチを活かして戦う。

だがエルザは最後の悪あがきをしやがる。


「これだけは、出したくなかったのだがな。私を守れ!ショジョマークのバリア!ははは!!!私を何十年も守ってきたバリア!お前に破れるわけが無い!」


エルザは長期間訓練した処女のみが使えるという、伝説の最強防御魔法であるショジョマークのバリアを繰り出してきた。


しかし


パリーン!!!!!


それを、俺の伝説の聖槍チングニルが。


​───────突き破る!!!!


「そ、そんな……ショジョマークのバリアが!!!」

「俺のチングニルを舐めるなよお前」

「な、何なのだ、お前は!!!!!!!!!」


そんな驚愕しているエルザの首を掴み押し倒した。


「ぐぅ!!!!」

「先に、奴隷契約を済ましてやるよエルザ。暴れられても面倒だ」


エルザにありったけの魔力を使って奴隷契約を行う。


【勇者エルザを奴隷にしました】


これでこいつは俺を裏切れない。

俺の仲間に手を出せない。


「どうだよ。心まで俺の犬になった今の気持ちは。聞かせてくれよ。なぁ?」

「貴様ぁ!!!!!!ファラァァァァァァァン!!!!!!!」


叫んでくるエルザに付き入れた。

己が聖剣を。深深と。奥まで突き刺されと。


ズブリ。

ブチッ!

何かが破けた。


「ぬ、抜けぇぇぇぇぇ!!!今すぐに抜けぇぇぇぇ!!!!い、今なら、許してやるぅぅぅぅ!!!!!」

「くくくくく、ははははは!!!」


俺の笑い声が響く。

そして


俺の右手には終了後に玉が握られていた。


【勇者エルザの子を入手しました】


【勇者の加護EX……などのスキルを獲得しました】


【レベルが上がりました。レベル91】


「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


俺の首を噛みちぎろうとする犬のようだが


「うぐぅ……」


その場で膝を着く。


「お前には1番誓約のきつい奴隷契約を行っている。絶対に俺に危害は加えられんぞ?更に自害も出来ないようにしてある」

「な……」


絶望するエルザに告げてやる。


「お前は一生俺の奴隷さ。これから定期的に可愛がってやるから楽しみにしておけよ」


エルザの腕を掴んで引きずるって魔王のところに向かう。


「た、助かったファラン」


そう言ってくる魔王様。


「このままルゼル達の回復を待ち王都に攻め入る。一旦魔王領へ引こう」


そう言って彼女は瞬間移動した。


俺もエルザと落ちていたセイレーンを連れて瞬間移動。

エルザをベッドに投げ飛ばす。


セイレーンは檻に幽閉だ。


勇者だから多少雑に扱っても問題ない。


「お前への送り物を考えていた」


そう言って俺は臭い勇者の鎧と勇者の剣を投げつけた。


【臭い鎧と臭い剣を捨てました】


「な、何だこの匂いは……」


鼻を押さえるエルザに答える。


「俺はそれをエルザだと思って毎日愛していたのさ」


さぁ、着ろよと言ったが着ない。


「着るわけないだろこんなもの」

「そうか、残念だ」


俺はそう口にしてエルザから鎧を引き剥がす。


「な、何をする」

「やるのにガチャガチャうるさいからだよ」

「や、やめてくれ」


奴隷契約で俺を拒絶出来ない。こいつは


「楽しませてもらおうか」

「うぅぅぅぅぅぅ……わ、私はお前なんかに……お前なんかにぃぃぃ……負け……た……」

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