第20話 暴帝、敗れる
「おらぁ!!!受け取れよミーナ!!!」
「ぁ、ぁちゅぃのぉ〜」
バタリとベッドで倒れるミーナを放置して俺は立ち上がるとそのままエルザの鎧を汚す。
ヒルダかミーナに毎朝の欲望をぶちまけてここまでが俺の毎朝のルーティンだ。
いやー、エロいペットを放し飼いしていて大変だな。
なんてことを思っていたらブイン!と誰かが瞬間移動してきていた。
「久しぶり、ファラン」
そこにいたのは俺の魔王軍童帝を貰ってくれたカイラだった。
チュートリアルの人だった。
「聖母様。あなたのおかげで俺はここまで来れました」
いつかしたように土下座して聖母を崇める。
「よ、よしてくれ聖母などと。最近の活躍は聞いてるよファラン」
そう言って俺の横にくるカイラ。
「ダンジョンを任されたと聞いて見に来たんだが」
そう言ってくるので俺は自分のダンジョンを見せることにした。
構成は今丁度こんな感じ。
サキュバス×50
人間の奴隷×10
ウルフ×20
「人間の奴隷の数がすごいな」
そう言ってくるカイラ。
「普通あまり人間の奴隷は使いたがらないんだが」
「あー。あいつらは放し飼いしてるだけだよ。戦力として期待してない」
そう口にする。
「と言うと?」
「子を取り出すためだけに置いてる。ここにいるヤツらは良質なのが取れるから」
そう言って俺は今朝取れたばかりのミーナの子を思い出した。
質としては微妙だけど味は美味しい。
ちょっと待っててと言って水属性魔法で子を洗う。
「食べてみる?そこのミーナって子から今朝取ったんだけど。正直人に渡すのは気が引けるけどさ」
そんなミーナの子をカイラに渡してみる。
俺の手から離れても大丈夫なのかなー?とか思いながら渡してみたけどきっちり受け取れるらしいカイラ。
「ふぅん。普通の飴玉みたいだね」
「ミーナのは美味しんだよね。だから質が悪くてもここに置いてる」
「ふぅん」
そう言いながらカイラはガリッと食べた。
「たしかに、美味しいこれ」
「でしょ?」
「もっとないの?」
今ないことを伝える。
いや、
「ないなら、作ればいいよカイラ。やらせて」
息を荒らげるカイラに自分の子を渡す。
カイラの味は微妙だった気がするんだよなぁ。
良薬は口に苦し的なあれだ。
質は凄くいいんだけど。
「自分のを食べるのはなんか微妙な気がするなぁ」
そう言いながらも口に含むカイラ。
「うへぇ、まずい」
そう言いながら舐めた瞬間吐き出して俺に返してきた。
「ごめん。口に入れちゃったけど」
「別にいいよ」
そう言いながら俺は口に放り込む。
不味いわこれ。
無理やり流し込む。
そんな事をしていたらカイラが声をかけてきた。
「今日来た理由なんだけど魔王様から呼び出しがあってね。どうやら近々人間側に攻め込むそうだよ」
そう言いながらカイラはモニターを見た。
その視線は今も尚奴隷としてせっせと働いているイグノアに向けられる。
「イグノアが欠けた今の人間側に一気に攻め込もうと考えているみたいだよ」
「それに、俺も出ろ?って?」
めんどくせぇよなぁ。
戦争なんて。
ちなみにこの世界にはクリスタルと呼ばれるものが人間側にはある。
それは魔王軍を弱体化して人間を強くするという鉱石なのだが、それのせいで魔王軍は攻めにくくなっているというのが現状だ。
今まではそれのせいで防戦をさせられていた魔王軍だったが、今回イグノアが欠けたことで少し攻めやすくなったためここで叩き込むというのが魔王の考えらしい。
「別にファランは出なくてもいいって言ってたよ。イグノアの件だけで十分な功績を上げてくれたってさ。それから切り札はポンポン使うもんじゃないとも」
それにしても女の子と自由にイチャイチャしてただけで俺いつの間にか切り札になってんのかよ。
「ということを伝えに来たんだ。じゃあ、私達は色々と準備があるから」
またねとカイラは去っていく。
ところで魔王さんよぉ。
忘れてたけど俺にはいつやらせてくれるんだよぉ。
俺の記憶力がニワトリ並と思ってもらっちゃ困るぜ。
三歩歩けば忘れることの方が多いけどこれは覚えてるぞ。
俺は魔王城へ瞬間移動した。
「魔王!やらせろ!」
魔王室の扉を蹴り開けて中に入る。
「約束だぞ魔王様。イグノアは始末した。やらせてくれるんだろ?」
「ちっ、覚えていたのか」
この人舌打ちしたよ今。
忘れてたらこのまま声をかけずにスルーする気だったんだよこの人。
「こっちへこい」
そう言って魔王様はベッドに寝転んだ。
「約束は約束だ。すぐに終わらせろよ」
【魔王イキシアの子を手に入れました】
【獲得効果。特定ランク以下の魔法の無効化……などを獲得しました】
きたー!!!!魔法無効化!!!!!
これが欲しかったんだよ俺は!!!!
わーい!!!!
「終わったな。満足したか?」
そう言ってつまらなさそうにベッドから出てくる魔王様。
なんか悔しいな。
カイラを始めルゼル、シエスタ、トキノ。
みんな俺の事を見てくれていたし俺と繋がれて嬉しそうな顔をしていたのに。
この人は顔色ひとつ変えていなかった。
なんというか約束だから。
それだけのためにやらせてくれたんだろう。
それがなんか悔しい。
「なぁ魔王さんよ」
「どうした?」
「次はもっとなんか思って貰えるようにがんばるよ」
「何かとは?」
「初めはさ。子を入手できたらいいって思ってた。でも違う。俺あんたから求められるようになりたいよ」
鼻で笑う魔王様。
「私を落とす、というのか?」
頷く。
「あんたを惚れさせてやるよ俺に。そんな機械的な顔じゃなくて、もっと俺のでよがる顔にさせてやるさ」
「私は四天王ほど甘くない」
そう言って魔王様は俺なんかいないかのように作業を続けだした。
「俺なしじゃ生きられねぇ体にしてやるからな!」
「そうなる未来が来るのを楽しみにしてるさ」
そう返してくる魔王。
あいつ、絶対泣かす。
俺の事好きで好きでどうしようもないんだって言わせてやるさ。
俺は勇者パーティから抜けてから負け無しだと思ってた。
でもこの日初めて負けた気がしたよ。
何と言うか男として見られていなかった感じだ。
奥歯を噛んで拳をギリギリと握りしめる。
俺はトキノのダンジョンに向かった。
「あ、ファラン。来てくれたんだ」
俺が瞬間移動するとすぐにトキノは寄ってきてくれる。
そんなトキノの口を塞ぐ。
「ふぁ、ファラン……」
魔王軍の女なんて全員チョロいと思ってたよ俺は。
でもさ流石と言うべきか。
魔王様はそんなにちょろくないようだ。
処女だった癖にトキノ達とは全く反応が違う。
「なぁ、トキノ。俺初めて傷付いた気がするよ。癒してくれ」
「う、うん。がんばる」
こいつは余りにも酷いマグロだが1番素直に俺の事を好きと言ってきて可愛い一面もある。
しっかしまぁあんな魔王様どうやって落とせばいいんだろうな。
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