第15話 俺はお前たちに俺の実力を認めさせるぞ


翌日俺は魔王様に会議があると呼び出された。

会議室に入ると既に偉そうな人がズラっと席に並んでいた。


ひぇ〜。

魔王様に指示された椅子に座ると一斉に俺に視線が注がれた。

そんな中1人の偉そうな人が口を開いた。


「君かね?最近魔王城で好き勝手やっている者と言うのは」


知らん。

俺は好き勝手にはやってないだろう?何事も節度は守っているはずだ。


だが腕を組んで俺を見てくるえらい人。


「私は君が先日手を出したシオンの父親だ」


と名乗ってきたシオンパパ。

うへ〜。


「魔王様。この男に少し甘すぎるのではないのでしょうか?」


シオンパパが魔王様にそう言っているけど。


「私がある程度許可している。それにお前の娘のシオンは別に無理やりされた訳でもないのだろう?ならいいではないか」

「し、しかしこのようなふざけた者に我が娘が穢されたなど!」


そうして俺を指さしてくるシオンパパ。


「見てください魔王様!この者は神聖なこの場でも社会の窓を閉じていない!それどころかこんな場所で人間の女に手入れさせている始末ですぞ!」


俺の座る椅子の下にはヒルダが当たり前のようにいる。

これのことを言っているのだろう。


「悪いな俺のマグナムは神経質で風邪を引きやすいんだよ。今もズルズル鼻水が出ているだろう?それのケアをこいつがしてるんだ」

「魔王様!このようなふざけた男要らないでしょう?!」


シオンパパがそう言うと、今まで黙っていた人達も騒ぎ始めた。


「そうですぞ!魔王様!早く叩き出しましょう!この男を!」

「そうですよ!魔王様!私も賛成です!」


そうやって俺を非難する流れになる会議室。


「黙れ!」


俺は会議室にあった目の前の木の机をダン!と右拳で叩いたが


「あっ」


勢い余りすぎて机が粉々に砕け散った。


「見てくださいこの者の単細胞さを!スグに物に当たる!」

「この者を魔王城にいさせ続けたら危険ですぞ!」


そう口々に訴えかける人々。

その中1人が口を開いた。


「魔王城近辺には最近雨が降っておりません」


と口にする奴がいた。


「私はこの者が雨を降らすことが出来たのなら、これ以上は何も言いませぬ」



俺はヒルダを連れて魔王城の屋根で寝そべっていた。

やる事は分かるな?


そう雨を降らせるんだ。


「ヒルダ、お前のテクニックだけが頼りだ」

「は、はい!この卑しいメスブタにお任せを!ご主人様!私はご主人様の弱点を全て把握していますので!」


ヒルダのお陰もあって俺は即座に水鉄砲を発射することが出来た。


「うぉぉぉぉ!!!!!」


先ずは発射された雨の素に速度上昇魔法。

そして次に


「質量の増加だ!!!!!」


発射された雨の素を何全倍もの大きさにする。

そして空高く舞い上がるのはホワイトウォーターボール。


「弾けろ!!!!」


俺が30メートルくらいになったそれに命じると、雨の素、ウォーターボールが弾けた。

粘度の高い白い雨が魔王城近辺に降り注ぐ。


それを確認して俺はヒルダの手を取り魔王城の中に避難。


窓から外の様子を眺めていたが降り注ぐ白い雨。


「はぁ、はぁ」


肩で息をしながら見守る。

これは紛れもなく


「雨だ!雨が降ってるぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「ほんとだ!!!久しぶりの雨が降っている!!!!!」


魔王城の近くに出てきた奴らがそう喜んでいた。

どうやら俺は雨を降らせることに成功したようだ。



会議室に戻ると


「ただいま、雨が振ったとの報告が入りました」


そんな声が聞こえた。


「こ、この男は本当に雨を降らしたようです」


そう報告されてこの中にいた偉い人達は俺に一斉に土下座した。


「か、神のようなお方だ!!!!」

「魔王様でも雨は降らせなかったのに!!!すごいお方だ!!!!」


そうして俺を崇めてくる。

神か。


悪くない俺はいずれゼウスすらも奴隷にするつもりの男だからそれくらいの扱いをしてくれないとな。


そう思いながら俺は元の椅子に座る。


「さぁ、会議を続けよう。机ねぇけど」


そう言ってみたけど会議は終わりらしい。

今回話し合う内容は俺の扱いに感じてだが多数決により俺をこのままにさせようということになったらしい。


「いやー、ファラン殿が来てくださって助かった。これで魔王軍も安泰だ」


そう言って部屋を出ていった偉い人達。

残された、俺と変態聖女と魔王様。


99%が俺を認めたらしいが残りの1人だけが俺を認めなかったらしい。

誰なんだよ、それと思って部屋の隅に目を戻すと人が立っていた。


着物の女。

あれ?さっき出ていかなったっけ?あいつ。

いい女だと思ったから覚えてるんだけど。


「ファラン。私はあなたのような下品な方を認めない」


そう言って近寄ってくる女。


「私は四天王のトキノ」

「よろしく」


そう言って手を差し出してみたけど無視される。


「私はカイラ達のようにあなたと馴れ合うつもりはない。あなたのような人と寝ることもない」


そう言って通り過ぎようとしたトキノに手を伸ばして、腕を掴んでみたが突如消えた。


「これが、私の魔法。あなたは私を掴めない」


背後から声が聞こえた。

後ろを見るとそこにトキノが立っていた。


「あらゆる時間に干渉する事が出来る時魔法使い。それが私。時間を巻き戻したり早く進めたり」


素晴らしい魔法だな。すげー魔法だな、時魔法。

なんかやっと四天王っぽい強そうなのが出てきたな。


一つ気になったので聞いてみる。


「なぁ、時魔法って体の時間も戻せるのか?」

「戻せるさ」

「つまりカイラを幼女にすることも出来るの?」

「下らないことばかり考える人……」


そう言ってくる。

そう思うなら返事しなければいいのに律儀にしてきたな。


それから、こいつが干渉出来るものはそれほど多くないと思う。


「俺の事嫌いなら俺が来なかった時まで時を戻せば良かったのにな」


それをしてないってことは


「あんた、全部に干渉出来るわけじゃないんだな」

「……」


俺を見てくるトキノ。


「思ったより頭が回るのね」


そう言って見下ろしてくる。


「俺の記憶を戻さないってことは俺に魔法は使えないってことかな」

「どうかしらね」


そう言ってトキノは歩いて部屋を出ていくようだ。

ぼかしたがまず使えないと思っていいだろう。


ゲームでも時魔法ってボス相手に使えないからな。

マジで使えない無能ゴミ魔法に早変わりしてたし。


「私はあなたに無理やりされてもその事実が起きる前まで時を戻すだけ」


そう言ってトキノは部屋を出ていく。


なぁ、息子よ。


俺はあいつとやりたいんだけどどうすればいいだろうか。

正攻法で行くしかないような気もするけど。


「私からも1度でいいと頼んでいるのだがな」


そう言いながら立ち上がる魔王様。


「それでも嫌だと言って聞かない。後は自分で頑張ってくれファラン」


そう言って部屋を出ていく魔王様。


どうするよ?あれ。

無理やりやっちまうのが早いけどさ。


にしても最後の四天王なだけあって手強そうだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る