第9話 流石四天王恐るべし

翌日。

めちゃくちゃ悩んだけどラブレターを書きあげた。


ネジの飛んだ女だった。


あんなキモイ手紙を賞賛しているのは罠かと思ったが俺はそのまま顔文字だらけのキモイ手紙を真似して書き上げた。


もしかして普通の手紙が欲しいんじゃないのか?とかって1人で架空のシエスタと熱く読み合っていたけど、答えが出ないので諦めた。


それにしてもあのキモイ男の手紙がこんなところで役に立つとは思っていなかったな。

魔王城の敷地を歩いているとシエスタに出会った。


「ほらよ。探してたんだ。ラブレター書いてきたぞ」

「もっとガサツな方かと思いましたが、きっちり書いてきたようですね」

「まぁな」


手紙を渡すと直ぐに読み始めるシエスタ。


「今日はシエスタの夢を見てきたよ(≧∇≦*)水玉おぱんちゅさいこーだったよ( ・ ͜ ・ )」


朗読を始める。

自分で書いてもう寒気がするレベルのキモイ手紙に仕上がったけど。


「ま、まぁ、なんと」


震える手で手紙をクシャッと握り締めたシエスタ。

あれ、ダメだったかな?なんて思ってたら


「わ、私のことをそこまで愛してくださったのですね?」

「へ?」


俺の両手を掴んでくるシエスタ。


「私は勘違いしていたようです。こんな素晴らしい手紙。本当に私を愛していなければ書けないでしょう」


涙を流しているシエスタ。

大丈夫かよこいつ。


このキモイ手紙の何処が素晴らしいんだよ。


「このシエスタ感動致しました。結婚しましょう、ファラン。夫はあなた以外考えられません」


何を言ってるんだこいつ。

こんなキモイ手紙書いてここまで言えるって1番チョロいじゃないかこいつ。


「結婚式はいつにしましょうか、ファラン」


デートの件はどこへ消えたんだ?

何でいきなり結婚なんだよ。


俺、やりたいだけなんだけど?


「あ、あのさ?デートは?」

「先にしますか?ファランが行き先選んでください」


そう言われたのでシエスタの管理するダンジョンに連れてきてもらった。

早くやって、帰ろうね。


シエスタをベッドに寝かせると


「ファラン。優しくしてくださいね」

「まかせろ」


【四天王シエスタの子を入手しました】


【インフェルノ……などの魔法を覚えました】


【レベルが上がりました。レベル60】


と、出てくる。

うし、かーえろ。


そう思っていたら俺の手首を掴んでくるシエスタ。


「結婚式はどうしますか?」

「あー、また今度ね」


そう言って俺は1人で瞬間移動を始めたんだけど、


「そんなに急がなくてもいいではないですか」


俺の瞬間移動にシエスタが割り込んできた、

ひえっ。


すげぇな四天王!こんなこともできんの?!

でもさ、俺今怖いんだけど?!


逃げれねぇじゃん!こんなの!

どうしよう。ヤり捨て御免でヤり逃げするつもりだったんだけど、無理じゃんこれ、


「では、結婚式しましょうね♡」


腕を組んで来るシエスタ。

それから魔王城で即日結婚式が開かれた。


流れるように進む結婚式。

シエスタがずっと俺の横にいた。


その俺たちの結婚式にセオンくんが参加していた。


「お前はシエスタ様にも手を出したのか?!あの人はなぁ!千年間されてきた告白を全部断ってきた人だぞ!凄いぞお前は!お前は魔王軍の英雄だ!」


そう言ってくるセオンくん。

俺はただお前の真似をしてキモイ手紙を書いただけなんだが。


それで何で英雄扱いなんだよ。

意味が分かんねぇよ。


そのまま結婚式は進んでいき、終わった。


「ファラン?今夜泊まりにいってもいいですか?」


そんなことを聞いてくるシエスタ。

俺は手枷を付けて待たせているヒルダを思い出していた。


あんなものを見せてはいけない。

さすがの俺でも人に見せるものでないのは分かる。


「いや、だめだ」

「そ、そうですか」

「都合がいい日に呼ぶよ。それでいいかな?」

「はい。楽しみにしています」


そう言ってくるシエスタを放置して俺はダンジョンに帰る。

やべぇの拾っちまったよ!!!


「あ!ファラン!ちゃんと待ってましたよ!」


俺がマスタールームへ戻ると声をかけてくるヒルダ。

この女がまだ正常に見えてきた。


あー、やべぇよ。四天王。

強敵だな。


なんてことを思っていたら


「ん?サキュバス?」


サキュバスのリーダーがこの部屋にやってきた。


「ま、マスター」


はぁ、はぁと息を荒くしているサキュバス。


「どうしたのだ?」

「ね、熱が下がらないのです」


そう言ってくるサキュバス。

額に手を当ててみるとたしかにすごい熱だ。


「そういえばどこかの森にどんな熱だって下げるという薬草が生えていると聞いた気がするが」


それを思い出した俺はサキュバスをベッドに寝かせると枷を取りヒルダに声をかける。


「おい、変態。今から森に出かけるぞ」

「はい!ファラン!このメスブタは何処まででもお供します!」

「待っていろ」


サキュバスにそう声をかけて俺は聖女メスブタを連れて瞬間移動する。

黒い道をしばらく歩いた先には緑色の景色が広がっていた。


森だ。

ちゃんと森まで来れたようだった。


ここにゼンカイソウと呼ばれるどんな症状だって治す薬草が生えていると聞く。


「よし、行くぞメスブタ」

「はい。ファラン、イきましょう」


なんか発音が違った気がするけど気にしない。

俺は聖女に首輪をつけて散歩も兼ねることにしながら森の中に、その奥に入っていくことにした。


サキュバスは最高だ。

あんなエロい穴は見殺しになんてできない。


間違えた。

仲間は見殺しになんてできない!何たって俺の大事な部下だからな!

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