第8話 設置モンスター、サキュバスサキュバスサキュバス


変態ラブレター野郎を魔王城で降ろしてから俺は魔王と一緒に任せると言われていたダンジョンにやってきた。


俺が任されたのは【殺戮の荒野】というダンジョンらしい。

荒れ果てた荒野のマップが続くダンジョンだ。


後でダンジョン名はチンスタンティノープルに変えておこう。

中世ヨーロッパっぽくてそっちの方がいいでしょ。


「こうしてこうしてここで出現モンスターの育成をしたり、配置をしたりできる」


そう説明してやってみろと言ってくる魔王様。

本当に適当だがこういうのってやってみた方が早いしな。


俺説明書なんて読まないタイプだし。


「えーっと、先ずサキュバス、次にサキュバス。次もサキュバス」


俺はえろ可愛いサキュバスだけ配置していく。


「何故、サキュバスばかりなのだ?もっとバランスよく配置した方がいいと思うが」


そう言ってくる魔王様。


「男のケツ見るより女のケツ見た方が俺のモチベが上がるから。男なんて育成したくないんだよね俺」


ゲームでも俺は女キャラしか使わなかったもんね。


「はぁ?」


首を傾げる彼女。

その横で俺はボスサキュバスを呼び付けた。


「あら、あなたが新しいダンジョンマスター?」

「らしいよ」


そう言うとサキュバスを掴むとそのまま始めた。


「ハァ……」


【ボスサキュバスの子を入手しました】


どうやらサキュバスでも入手出来るらしい。

そうとなればサキュバスだけ育てておけば間違いないかな?


サキュバス最高じゃん。


偽サキュバスヒルダはいるけど1人からは連続で子を取り出せないから。


それなら本物のサキュバスでローテするのが1番強くはなれるんだろうけど。


「へー。あなたいいもの持ってるみたいねー」


舌で唇の周りを舐めるサキュバスを見ながら子を噛み砕く。


【催淫スキルを手に入れました】


このスキルは相手を催眠術みたいに少しの間言うことを聞かせやすくなるスキルらしい。

サキュバス専用のスキルなようだが俺のスキルを通せば入手可能らしいな。


ヒルダの子を食った時も思っていたがこのスキルは専用スキルの獲得も出来るらしい。

やりさえすれば。


「魔王様?やらせてくんね?」

「私は1番後だろう?順番的に」


そう言ってる魔王様に早速催淫スキルを使ってみたが


「残念。私にはスキルがあるから特定ランク以下の魔法やスキルは無効だよ」


笑って答えてくる魔王様。

それなら仕方ないな。


まぁ何より別にそこまで急ぎでもないわけだし。


「じゃあ、私は魔王城に帰るよ。何かあれば呼んでくれ」


そう言って魔王は瞬間移動して消えた。


特定ランク以下の魔法無効スキルか。

欲しいよなぁ、それ。


そんなことを思いながら俺はサキュバス達をスキルで強化していく。

この前にイザベラから奪い取ったあのスキルで。


そんな事をしていたら、全てのサキュバスのレベルが50になった。

といっても今の俺のダンジョンにサキュバスは5匹しかいなかった。


どうやったら増やせるんだろう。これ。

仕方なく男のモンスターとかも設置しないといけないのかな?


ゴーレムとかもいるけど。

ゴーレムには突っ込みたくないよな。ってか穴あんのかなあれ。


そんなことを思いながらとりあえず5匹のサキュバスを設置


「よし、こんなもんかな?」


色々マスタールームの機能を触っていると


「ん?」


何やら模擬戦というものがあった。

説明を見てみるとどうやら配置したダンジョンがどの程度まで耐えられるかをシミュレートする機能らしい。


「試してみるか」


とりあえずやってみたらいい。

シミュレート機能程度なら何も起きないだろう。


「仮想敵を選んでください、か」


とりあえずEランク冒険者パーティから始めてみよう。


「瞬殺か。まぁこっちはレベル50あるしな」


そうして冒険者ランクを上げてみたがBランクから苦戦するようになっていた。

Aランク冒険者相手はまずキツイかな?


「今日はこの辺りにするかB以上の冒険者なんてあんまりいないしな」


王都にいた俺だから分かる。

冒険者の殆どはCランクで止まってしまう。


Cランク以下の冒険者で8割を占めると言われているくらいだ。

そしてBランク以上の冒険者は基本的に引っ張りだこでありこんな辺境のダンジョンまであまり攻略しにこないはずだ。


まぁ、昨日今日で来るわけが無い。


これ以上のダンジョン強化は別に明日以降でいいな。

俺の体で遊んでいたヒルダを引き剥がすとベッドに座らせた。


「ふぁ、ファラン。も、もっと食べさせてください」


トロンとした目で見てくる。ほんとに変態聖女だな。

相当だぜ?これ。


「俺は今から用事があるからここで大人しく待ってろよ」

「はい。このクソムシ変態聖女。ファランだけをお待ちしております。手枷と足枷もお願いします」


そう言われて俺は何故か手枷と足枷を持っていたので付けてやることにした。

大人しくしてろと言い残して瞬間移動する。



ダンジョンマスターの特権として常にダンジョンの様子は確認することが出来るらしいがあの変態聖女が余計なことしている様子は見えない。


本当に大人しく待っているようなので魔王城に来た訳だが。

何時だかに出会った四天王と再会した。


「あら、あなたですか。下品なスキルをお持ちの」


そう言って俺を見てくる四天王の1人。

名前は知らないな。


下品なスキルなのは自分でも思うから別に何も思わない。


「ダンジョンを任されたらしいですわね。一応名前くらいは名乗っておきましょう。私はシエスタと申します」


そう言って頭を下げてくる。

イザベラとは違うタイプだが上品な奴だなこいつも。


そんな彼女に頼む。


「やらせてよ」

「は、はぁ?私をカイラ達のようにチョロいと思わないでくださいね?」


そう言ってくるシエスタ。

やっぱりカイラがチョロかっただけなのか!


「あなたのスキルは知っておりますが何故私がそのようなことをする必要があるのでしょうか?」


そうやって話していると、


「あっ!お前は!」


どこかで聞き覚えのある声が聞こえてそちらを見るとセオンが立っていた。


「ラブレターの人か」


そう言うと


「決闘を受けに来たのだな!」


と言って剣を抜いて迫ってきたセオン。

その、セオンの懐に入って顔面を殴りつけると


「ぐはぁっ!」


倒れるセオン。

弱いなこいつほんとに。


ヒルダに殴り負けてるの見て察してたよ正直。

まぁ、これで決闘の件は綺麗に終わりなわけだな。


そう思ってまたシエスタに目を戻す。


「最低限のお力はあるようですね」


今の決闘を見てかそう呟くシエスタ。


「ですが、私とデートがしたいのでしたらそれ相応のものを見せてもらえませんとね?」


そう言ってくるシエスタ。

はぁ、だりぃなぁ。これだから面倒なんだよこのスキル。


向こうは四天王。

これからの事も考えて無理やり、というのは一応やめておくか。


実力もイマイチ分かんないし。


「そう言えば先程ラブレターと仰っていましたね?」


そう聞いてくるシエスタ。

あー。セオンの事か。


「こいつの書くラブレターがとてつもなく気持ち悪かったんだよ」

「どのような内容だったのですか?」


俺は昨日の手紙をシエスタに見せた。


「な、なんと言う素晴らしい手紙なのでしょうか」


あんた頭大丈夫か?


「こんなにも気持ちのこもった手紙は中々ありませんよ」


何処に心がこもっているのか教えてくれないか?良かったら。

そんな俺の疑問に答えるように口を開くシエスタ。


「見てください。この顔文字。わざわざ書いたんですよ?この愛する女性のために。心がこもっていると思います」

「それ浮気相手への手紙だけどな」


俺に気色悪い手紙を返してくるシエスタ。

そうしてから口を開く。


「分かりました。では、あなたはこれ以上に素晴らしいラブレターを書ける自信がありますか?」

「?」


なんの話してんのこいつ。

頭のネジ飛んだやつの思考回路は本当に理解が出来ないな。


「私はあなたにラブレターを書いてもらいたいと思います」

「はぁ?」

「私の心に届くラブレターを書けるのであれば私はあなたとデートしましょう」


そう言ってくるシエスタ。

めんどくせぇ女だなぁ?!こいつ。


素直にさせろよ!


「面倒いよ。今デートしてくれよ」

「なりません。いいですか?」


手紙とは人の心を映し出す、どうのこうのと喋り始めるシエスタ。

だめだこりゃ。


「分かったよ。書いてきたらしてくれるんだな?」

「えぇ、勿論ですよ。心に響けば」


そう言ってくるネジの飛んだ女。

初めからネジなんてないのかもしれないけど。


「はぁ」


溜息を吐くとシエスタはどこかへ去っていく。

俺はここに来た用事を済ませにいく。


「終わったよ魔王」


魔王室に入ってダンジョンの一応の完成を伝える。


「おう。待っていたぞ」


そう言って俺を見る魔王。

シミュレーションの結果も伝えた。


「なっ!Bランクまでは対処出来そうだって?!」

「どうしたんだ?」

「いや、私はせいぜいDランクまで防げれば御の字だと思っていたのだが」


そう言ってくる。


「ふむ。才能だなそれは。やはりファランに任せて正解だったようだ」


なんて事を言っていた。

俺にはよく分からない話だしラブレターを書いてこいと言われてるし、ダンジョンに帰ることにした。

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