第8話 秋雨
雨は降り続く 雨が降る 雨が降る
いろいろな人々の思いを汲み取って透明な長針は
無残にも過去という名の檻に押し込んでしまう
私は誰ですか、と長針に尋ねても
針は私の心は余計に刺すだけで
何の財産も希望も与えてくれやしない
何を私は得たいのか 何を私は捨てたいのか
こんな雨が降りしきる夜にはその本意がわからなくなる
雨は無情にも降りしきって汚れた大地の膿を流し洗っている
膿の中には数々の思い出やカラーのインクが擦れた写真が
大切に眠っていて雨の粒とともに下界へと堕ちて行く
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