1話 魔王城へようこそ
「おお!本当にきた」
「うっ、ここは?」
見覚えのない広い部屋、そして俺を取り囲む黒い角の生えた悪魔達、なるほどなここが異世界か。
「貴方が我らを救いに来たチート系転生者ですか?」
「え、まぁ一応そうなるのかな?」
「おお!」
モブっぽい顔したやつがそう俺に訊いてきた。
あってるよな……そのチート系転生者で。
つかなんだよチート系転生者って。
「お待ちしておりまた!ささ、チュートリアルというやつを行いますがよろしいですか?」
「お、おう」
そう言ってモブAは俺の目を見てきた。
ていうかなんなんださっきからこのレトロなRPGのような展開は、あの神が仕込んだのに間違いはないのだろうがなんかやり辛い。
「では簡単に今の状況と今後の計画を少々、まず今貴方がいるのは魔王城Aでございます」
「ま、魔王城A!?」
なんだAって、それはBがあるってことなのか?
「ちなみに魔王城はABCの3つがございます」
「お、おう」
やっぱりあったのか。
つか自分達の王の城くらい名前考えろよ……。
「そして!現在この魔王城Aの領主はラキド・ワイゼル様でございます」
「ラキド・ワイゼル?」
誰だ?
ダメだ色々頭の中で検索してみたがやっぱりわからない、ヒットしない、ていうか横文字の名前を直に聞くの初めてかも。
「太古からこの地域を治めたワイゼル家の最後の3姉妹にして御長女様でございます」
「ほう」
察するにそのラギド・ワイゼルが神が言ってた残りわずの魔王一族ということか。
「つまり貴方はこれからラギド様側近のチート系転生者として勇者庁にいる憎き数字持ち達と渡り合っていただきます」
「うーん、ちょっと待て勇者庁ってなんだ?」
おいおい一瞬の間に知らない単語の乱れ撃ちにあったぞ、勇者庁?数字持ち?こちとらこの世界に生まれたての子鹿だぞ、いちいち説明受けないと迷子になるぞ。
「あー申し訳ない、チート系転生者様はまだご存知ないですよね、勇者庁とは約1000人以上の勇者が所属する公的ギルドでございます、そして数字持ちとはそこにいる上位100人の勇者の事です」
「なるほどな、あとチート系転生者ってのやめてな」
「なぜですか?」
「いや、俺にもダイゴって名前あるからさ」
「だ、ダイゴ様!なんと偉大で高貴な名前なんでしょうか」
「は?何言ってんの?」
モブAはそう言ってあからさまに大きなリアクションをとった。
いやさ、いきなりヨイショとかしなくていいから。
「さてダイゴ様!これでチュートリアルは終わりです!」
早いな!
本当に説明だけだったぞ、戦闘の仕方もどうぐのようなものの説明も何もなしとか、ハードモード過ぎません?
「それでは早速ラキド様にお会いになっていただきますね」
「わかった」
まったく理解できぬまま事態だけだが進んでいき、俺はどうやらこの城の城主に会うらしい。
まったく死んでからといもの置いてけぼりの連続な気がする。
「私がこの城の城主ラキド・ワイゼルです、よろしくね」
「あ、はい」
そう言ってラキド・ワイゼルは俺に向けて小さく手を振った。
おいおい魔王一族最後の生き残りって言うわりには驚くほどに普通だな。
巨漢でもなく、長いツノもなく、ただただ普通の町娘って感じがする。
これが百年前まで人間を支配してきた魔王一族なのか……。
「にしても貴方、やっぱりとんでもないステータスしてるわね」
「え?」
ステータス?なにそんなの見れんの?
そう言えばそうだよな俺もチート系転生者なら、お化けステータスしてるはずだよな。
でもステータスなんてどうやって見るんだ??
「ん、貴方なんでそんなすっとぼけた顔をしているの?ちょっとまって、もしかして自分のステータスの確認方法わからない感じ?」
「あ、ああ」
「うそ!?」
これが本当なんだよなぁ、あの自称神からはほぼ説明なしにここへ送られ、あんたの部下と思しきモブAからも実務的な説明は一切なし。
言っとくが今の俺は会社に入りたててで何にも知らない、できない新入社員と同じと言っても過言ではないぞ。
「まぁこれくらいの事は教えればいいもんね、右手出して」
「おう」
ラキドに言われ俺は右手を差し出した。
「魔力解放ー能力開示」
「うわっなんだこれ」
ラキドがそう言うと俺の右手にホログラムのようなものが表示された。
「えっと、筋力5000に魔力8000、耐久値は……凄いね10000もある、運5000も高いし、やっぱり全体的に良い数値ね」
「全然普通がわからんがこれ高いのか?」
「うん、だいぶ高いよ、そこにいる貴方をここまで案内したモブ君のステータスは確か全部合わせても1000あるかないかだもん」
おいおいそれは逆に低すぎるんじゃないか、全部合わせて1000ってひょっとてそこら辺の子供よりも弱いんじゃ……。
「すまん、モブさんのステータスだイマイチピンとこないからラキドさんのステータス教えてくれる?」
「え、私の?あんまり参考にならないよ」
おいおい何その強キャラ的発言、それは俄然興味湧くんだが。
「参考にならんでも構わないから見たい……です」
「はぁ、仕方ないわねそこまで言うなら見せてあげる」
そう言ってラキドは自身の右手を俺の前に差し出してきた。
「魔力解放ー能力開示」
さぁて、かつて世界を支配したとかいう魔王一族のステータスを拝もうじゃないか。
チート系勇者によって魔王陣営がピンチになったらしいので魔王陣営に転生しまた。。 神崎あら @takemitsu
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