第30話 愛崎正守



 魔法剣士であるユーリを演じる愛崎正守は、魔王の前に素早く飛び出ると、レイピアを一閃いっせんさせた。ダメージを追う魔王に、今度はマシールが近づき、キュアの呪文を唱える。


「マシール、いや! れん! どうして庇う!」


「だって、この人、私のお父さんだもん!」


「し、知っていたのか!」


 正守が叫ぶ。


「邪魔をするな! 魔王はお前の、マシールの父だ! そして、魔王役をやっているのが誰だか知ってるのか! 王 龍丹、いや、出奔した、お前の兄の愛崎 祭(まつり)だぞ!」


「えっ?!」


「そして、お前が探している姉とは、実在の人間ではない。フランシールの正体は、最高真理そのものだ!」


「フランシール様は実在の人間ではなかったのか?」


 彼女を探していたモッコをはじめとするドワーフ達が騒ぎだす。


「頼む、れん! 私の魂を救ってくれ! 私の魂を神上がりさせてくれ! 原罪の意味とは何なのだ?! 最高真理とは何なのだ?! お前なら悟った筈だ! 一子相伝。愛崎家に伝わるその最高真理を私にあかしてくれ!」


「私が?」


「お前なら気づいている筈だ。私の娘フランシールは一向にその秘密を開示かいじしてはくれんのだ。私の白雪姫がな」


「?!」


「本当に祭兄さんなの?!」



第30話 了

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