第23話 白雪姫
「さ、早く出て下さい!」
「いい、と言ったろ!」
らしからぬローブを
「いいですか?」というマシールの言葉に、「何だ!」と一人のドワーフが声を荒げる。
「皆さん方が此処に留まろうとする訳はわかります。白雪姫が此処の城に囚われているからですね」
「どうしてそれを知っている!」
「あなた方が白雪姫として慕っているのは魔王の妻ですね」
「……」
「マシール! 何であなたがそんな事を知っているの?!」と、ユーリが慌てふためく。
「私、本当は魔王を倒したくはないの……」
「どうして?!」
「だって、このゲームの目的は、魔王を倒す事ではないから」
「何だと!」これに驚いたのはレオンだ。
「この理由、あなた達なら知っていますね?」
その質問に電撃のような沈黙で答えるドワーフ達。
「善悪二元論。それを止揚する為の究極理論である
「どうしてよ! 悪の存在が絶滅すれば皆善人ばかりで平和な至高世界が訪れるじゃない」
「それはこのゲームの目的ではないような気がするの」
「じゃぁ、どんな目的があるの?!」
珍しく興奮状態にあるユーリの口吻に少し驚くマシール。
「このゲームでは、皆最初に自分独自のシナリオが与えられるわ。私のシナリオは、悟りを開く為に旅立った父を探す為だけど、その父の真の目的は魔王の妻となったわたしの姉を救出するという目的を持っていたの!」
「それがマシールに与えられたゲームの目的なのね」
「そう!」
「じゃぁ、あなたはフランシール様の妹君か!」
黙って聞いていたドワーフ達が騒ぎだす。
「だけど、ゲームの根本的な目的は、違うと思う」
「それが、善悪を超越する最高真理の探索なのね?!」
「そう!」
「そうだったの……」と、ゲームの目的を見失っていたレオンが呟く。
「じゃぁ、マシール聞かせてよ。善人ばかりの平和な世界が何故いけないの?」
第23話 了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます