第18話 転調 世の中はカノンではないのだ
中天の日差しがホテルの噴水の壁をキラキラした光の渦へと変えている。虹の
ピアノ演奏は、カノンではない。
このホテルの最上階にあるレストランでの昼食会は、もう終盤に差しかかり、後は食後のデザートを残すのみとなっていた。
王 龍丹の昼食の相手は、あの『エンペル・ジャパン』の社長と副社長である。
「王君。もうすぐ、武道会が行われるね。今回の注目株はどんな男だね?」
「いえ、男ではありません」
「何? 女なのか?」
「はい。聖法将軍の末裔の一人です」
「まさか、ギザ=シルバザール、いや、
「はい。分家の
「そうか、最近、株価
「世界の命運が掛かっていますから」
「どういう事だ?」
「あなたの会社のあるグループが、株価大暴落を起こそうとしているのです
「?」
「ゲームプレイヤー株価の大暴落です」
「何の為にだ!」
「あなたの会社を潰す為ですよ」
「何だと?!」
「人間に何故、株価をつけて数字で支配するのかと、聖法将軍を崇める一派が我々を狙っているのです」
「宗教上の理由か……」
では、何故愛崎れんが参加をしているのだと問いかけた副社長の言葉に、龍丹が答える。
「あなたの考えを聞いておきたい。このシステムを案出した人間について知りたい」
「……それは言えぬ」
「あなたではないのですか?」
「それは国家機密なので口止めされている」
「わかりました。それで私はこれからどうすれば」
「まず、聖法将軍の側についているグループの洗いだしを頼む」
「はい」
昼食会を終えた龍丹は席を立つ。
一体龍丹はどちらの側なのか? それは弟子のサイさえも知らない事であった……。
第18話 了
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