第17話 聖法将軍の末裔


 中天ちゅうてんの日差しがホテルの噴水の壁をキラキラした光の渦へと変えている。虹の円弧えんこがその上に掛かり、行き交う人々の目を楽しませていた。

 このホテルの最上階にあるレストランでの昼食会は、もう終盤に差しかかり、後は食後のデザートを残すをのみとなっていた。

 王 龍丹の昼食の相手は、あの『エンペル・ジャパン』の社長と副社長である。


「王君。もうすぐ、武道会が行われるね。今回の注目株はどんな男だね?」


「いえ、男ではありません」


「何? 女なのか?」


「はい。聖法将軍の末裔の一人です」


「まさか、ギザ=シルバザール、いや、亜沙羅 人生の一族か?!」


「はい。分家の愛崎家の一人娘です」


「そうか、最近、株価急騰しているあのパーティーのリーダー、愛崎れんか……。よく、調べてあるな」


「世界の命運が掛かっていますから」


「どういう事だ?」


「あなたの会社のあるグループが、株価大暴落を起こそうとしているのです

「?」


「ゲームプレイヤー株価の大暴落です」


「何の為にだ!」


「あなたの会社を潰す為ですよ」 


「何だと?!」


「人間に何故、株価をつけて数字で支配するのかと、聖法将軍をあがめる一派が我々を狙っているのです」


「宗教上の理由か……」


 では、何故愛崎れんが参加をしているのだと問いかけた副社長の言葉に、龍丹が答える。


第17話 了

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