第13話 黒い桜の悪魔
サイ。どうだ。彼女達の動きは?」
「それが、今魔王の城の中にいるみたいでやす。そこのセーブポイントでセーブして昨日は終了したみたいでやす」
「何?! 本当か!」
ホテルの一室に宿泊し、徹夜して仕事をこなしている龍丹が慌ててサイが観測者として見ているディスプレイ画面を見に来る。
「何故だ? 彼女はまだレベル5のヒヨッコだぞ?」
「それが、いい仲間を見つけたみたいでやす」
「運がいいのだな。その心強い味方が強い魔物を神上がりさせて経験値を稼げば、あっという間にレベルアップ出来る」
「へぃ、何せその味方がギザ=シルバザールでやすからね」
「何?!」
『ラスト・ドラゴニア』をやっていて、ギザの名前を聞いて知らぬ者はいない。上株輝者で、このオンラインゲームで最初に魔王と戦った勇者のプレイヤーだったからだ。
このオンラインゲームのサービスが開始されてから一カ月後に起きた株の大暴落、『ブラック・フライデー』、それが13日だった事から悪夢の金曜日として知られるあの日で、プレイヤー生命を断たれたのが、ギザ率いるパーティーだったのだ。
それ以来、ギザが演じるジョス=レオンは、戦闘にも出ず、色々な街に出没しては日がな一日チャットを楽しむ隠棲者になり下がってしまった。そのギザが新たな旅に出る?
戦闘評議会も注目。皆観測者の目はレオンをパーティーに加えたマシールに向いていた。
翌日、連休の二日目。大和府西京市。この国の西方に位置する一大宗教都市である。今から五百年前に国を牛耳っていた西京幕府の首都であり、幕府が天剣寺に置かれた事から天剣幕府とも言われ、この山を中心に門前町が形成されていた。
愛崎れんは、その幕府の上に立つ聖法将軍の
実家は、国中に土地を所有する一族であり、政界、財界にもコネクションを持つ名家だった。れんは、広大な敷地を持つ家へと里帰りした。西京市二鷹区にあるその名家。愛崎れんの実家である。
桜並木は……。
黒い桜の華は不幸せの実を生み出していた……。
第13話
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