No.6「縹色」夏祭り、出来心、ふかふか



子供の頃の事だ。その日は夏祭りで私は友人達数人と一緒に遊びに行く約束をしていた。その友人のなかには当時片想いしてた相手もいて、約束をした帰り道は自分がいつ家に帰り待ち合わせ場所にどのように行ったかも思い出せないほどに、うかれていたのは間違いない。あのときの私は最強の夢の国の住人だった。うん、間話休題。

肩を叩かれ不思議そうな顔の友人に覗き込まれて正気に戻った私は、わいわいと楽しげな友人達の後を出来心で買った大きくてふかふかの綿菓子に埋もれぴょこぴょこついてまわっていた。やがて綿菓子がなくなった頃に声をかけられる。それは片想いしていたあの子で、やるよという言葉と共にぱちんと髪になにかをくっ付けられる。そばにあったクレープやのウインドウに映り込む私の頭には縹色の花が一輪。にあってるよ言うことばに顔を上げると既に姿は遠くにあり。頭にてをやり、触れるちりめんの感触にこれは私に都合のよい夢ではないのだと確認する。

顔が熱い、言葉の全てが火花になって弾けていく。ごちゃまぜになった感情が胸につまったのか息ができない。ジカジカと光る提灯の光がぐるぐると世界をまわっている。遠くの方で誰かの声が耳をすり抜けていく気がしたけども、私の何がかそこでぷつんと切れてしまいその後は何もわからなくなった。



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