第7話 漂うこころ
私には物心がついた頃から一緒だったともだちがいる。
名前は
幼い頃はおままごとやお人形遊び、
大きくなってからは勉強を見てくれたり、相談にものってくれた。
まだ幼いある時、母に「いつも誰と遊んでいるの?」と尋ねられた。
「咲恵だよ。」
と彼女の名前を伝えると、母は泣き出してしまった。
咲恵も泣いていた。
あの頃は2人の涙の意味が全く理解できなかったが、今ならわかる。
それからもずっと現在に至るまで双子の姉妹のように一緒に過ごしてきたし、
私は咲恵を信頼している。
たとえ姿が見えなくても。
数年前、親戚の集まりがあってこの街に足を運ぶことがあった。
彼女はずっとすすり泣いていた。
合間を縫って抜け出し、咲恵を慰めるために2人きりになれる場所を探そうとした。
すると咲恵が道を案内してくれた。
河川敷を抜け、少し山の遊歩道をのぼると見晴らしのいい高台にたどり着いた。
咲恵は涙を流しながら話し始めた。
「せっかく
そう、今日は私の誕生日。
毎年ケーキを家族で食べてお祝いをするのだが、
数年に一度、母の実家であったあの家に集まるのだ。
みんな黒い服を着て。
「今日はワタシの命日なんだ。」
咲恵が震えた声で小さくつぶやいた。
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