第3話
「柊斗先輩?」
声を聞いて誰か分かった。
俺がここ1年避けていた存在だ。
如月 藍那(きさらぎ あいな)高校2年生だ。
俺が高3のときに当時中学2年だった彼女が俺に告白してきた。
理由は親友の俺の妹と家で遊ぶようになって俺を見たときに一目惚れ、そのまま俺の内面も好きになって俺が大学に行ってこっちを離れるから告白したらしい。
俺だってこんなに可愛い女の子に告白されて付き合いたい気持ちは山々だったが、彼女は当時スマホを持っておらず、俺と遠距離恋愛になることができなかった。
更に俺の大学は結構偏差値が高く単位をしっかりとっていないと、ついていけないためあまり実家に帰ったりすることができないことが分かっていたからだ。
「柊斗先輩であってますよね」
「久しぶり」
俺を見つめる如月の身長はあの頃からあまり変わってなく今じゃ俺と20cmも差がある。
「ばか」
いきなり如月に罵倒されて驚いていると、如月は俺の方に走ってきてそのまま抱きついた。
「ばかばかばか。私悲しかったです」
俺の胸に顔を擦り付けながらそう言われる。
自分でもひどいことをしたのは分かってる。
「告白して、振られて悲しかったです。でも!それはしかたがないことだったんです。それからも先輩後輩という関係で柊斗先輩と話すことができたら、それで良かったんです。なのに、柊斗先輩は遠くの大学に行って一人暮らしを初めて、1年後には 彼女も作って、こっちに帰ってきたと思ったら顔も合わせずにすぐむこうに帰っちゃって」
涙を流して俺の胸をぽかぽかと叩く如月は、俺が自分にとってとても大事な存在であるということを今俺に教えてくれた。
「ごめん」
俺には如月に謝ることしかできない。
謝ってもこの一年間をやり直せるわけじゃない。
だから俺は今如月のことを優しく抱きしめた。
たぶん、今の俺にできることはそれぐらいしかないから。
「先輩は最低です。振ったはずの後輩を抱きしめて、私が諦めようとしてた柊斗先輩に対する恋を再発させようとしてくるんですから。やっぱり柊斗先輩は最低でばかです。でもそんな先輩が大好きです。諦めませんから!」
「あっ、でも柊斗先輩は彼女いるんでしたね。今の聞いてなかったことにしてください」
なんで俺はこんな俺に対して一途な子を振ってしまったのだろう。
離れた大学に行って神楽なんかと付き合うんじゃなくて、今もなおこう俺のことを思ってくれていている如月と付き合うべきだったんじゃないかと後悔する。
思いを告げられたから諦めたからと言われたなら、俺も言うべきなんじゃないのか?
自分がなぜ如月を振ったのか、今はもう誰とも付き合ってないことを言うべきじゃないのか?
如月を振った理由を本人に話したあと俺はこう言った。
「俺、もう彼女いないんだ」
「えっ?」
やっぱり言わなかったほうが良かったのだろうか。
如月はまた泣き出してしまった。
「やっぱり諦めません」
如月は笑顔でそう言った。
言って正解だったかもしれない。
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絶対おかしなところあると思うので見つけた人は教えていただけると嬉しいです。
読者のみなさんが読みやすい小説を作れるようにがんばりますので、星やハートもらえると嬉しいです。
また、今作品がラブコメ週間ランキングにて106位になりました。
ありがとうございます。
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