第4話 トイレットペーパーに使える葉っぱ

そんな風に俺とキララの異世界交信が始まった。


学校ではキララが消えた話題で持ちきりで、

誰かが遺体を持ち去ったとか、UFOが吸い込んで連れ去ったとか、猫が咥えて行ったとか、


もうテキトーな噂ばかりが飛び交っている。


俺は昼休みに1人で体育館裏に行った。校内では電源を切るように言われてるスマホを見るためだ。


体育館裏には、いじめを受けてるらしい生徒が鼻血を出しながら、お弁当を食べていた。


俺が会釈すると彼も会釈した。俺はスマホを開いた。


するとキララからのLINEが来ていた。


『トイレットペーパーに使える葉っぱってない?』


拭くんだ。キララは葉っぱで。

拭き取るんだ。きれいに。


俺はすぐにネットで調べる。

トイレットペーパー代わりになりそうな葉っぱを検索した。


調べてみたらと色々出てきた。

柿の木の葉や、たんぽぽの葉、よもぎの葉。


でも現実的に拭きやすそうなのは、

わりと大きめな朝顔やアジサイの葉だろう。


朝顔や、アジサイの花ならキララも見たことあるはずだし、探しやすいだろう。


『朝顔とかアジサイの葉っぱが、やわらかくて拭きやすいみたい』


そう送った。


すぐに返事が来た。


『朝顔あった。葉っぱ良い感じだった』


早いな。

拭くのが。


座って用を済ませてから、LINEしたのか。

それからすぐに身近にあった朝顔の葉を千切って

拭いたのか。


俺は体育館裏の草むらの上に寝転んで空を見上げた。いじめられっ子は、いじめられに戻って、もういなかった。


今度いじめられてる所を見かけたら、いじめてる奴をぶっ飛ばしてやろう。会釈を交わした仲だし。


キララが用を済ませて見上げた空と、俺の見てるこの空は一緒なのかな。


なんかエグいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る