第3話 ドラゴンの手なづけ方
ドラゴンみたいのが目の前にいる。
事故で頭を打ってどうかしてしまったのか?
ドラゴンが視えるような状態に仕上がってしまったのか?
俺は『今、どこにいるの』と打った。
すぐにキララから返事が来た。
『異世界』
異世界ってどこ。横浜中華街の裏通りとかを思い浮かべてしまう。
『異世界ってどこにあるの?』
『わかんない。トラックにはねられて、マンガのコマを五つくらいぶち抜いた感じで、たどり着いたから』
『なんで異世界だと思ったの?』
『目の前にドラゴンが火を吹いてたら、異世界だよ』
それは異世界だ。間違いない。
『このドラゴンをなんとかしないと、死ぬ。だから倒し方を調べて。スマホがネットに繋がらないんだ。でもLINEだけがなぜか繋がるの。で、調べたらLINEして。充電が切れると困るから、電源落とさないと』
『充電どのくらい残ってるの?』
『まだ90%ある。あと充電器で一回は満タンに出来るはず。それで終了。連絡出来なくなる。異世界、電気ねえし、クソ』
口悪いな。
『わかった。倒し方を調べたらLINEする。つか、家に連絡はしないの?』
『しない。リズムもしたら殺す』
僕の名前は、入来奏夢。奏でる夢と書いて、リズムと読む。キラキラネームでごめん。
でも家に連絡したくないって、何か理由があるのだろうか?
『じゃあ急いで』
キララは電源を、切ったのだろう。
俺はネットを開いた。
でも本物のドラゴンを倒す術などあるのだろうか?
武器もないし、魔法も使えない。テレビもねえしラジオもねえのだ。
とにかくドラゴンの倒し方で検索してみた。
が、調べてみるが決定的な倒し方が出て来ない。
大木をノミで掘って、白い竜を作って戦わせるって、何年かかるんだよ、気長か。
竜の腹にある青い心臓を、剣で刺すというのもあるが、武器もないのに何で刺すのだ?
シャーペンか、シャーペンしかないか。シャーペンでドラゴンを倒す、その唐変木さに感じ入って、刺されてやってくれ、ドラゴンさんよ。
調べているうちに、キララからメッセージがあった。
『ドラゴンにグミあげたら、なついた』
なつくんだ、グミで。驚いて目からコンタクトが落ちた。使い捨てで良かった。
メッセージと一緒に、写真も添付されていた。
自撮り棒をいっぱいに伸ばして、
ドラゴンの背中に乗って、ピースサインを頬に当てて写ってるキララがいた。
自撮り棒、カバンに入れてたんだ。
ちょっと引いた。
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