第14話 果物とメリッサ②

 ローラお姉ちゃんの言う通りにすれば良かったです。

 お父さんが帰ってくるまで待ってれば、いっぱいイチジクも採れたし、こんなに恐い事にならなくても済んだですのに……。


 ご免なさいです!

 メリッサはもう駄目なのです。

 ガルムに食べられて死んじゃいますです。


 恐いのです。とっても恐いのです。


 囲まれちゃったのでグルグル、グルグル回ってたら目も回ってきたです。

 メリッサは吐きそうなのです。


 あれ、なんかくもったです。

 って、狼が跳び上がってるですぅ。

 間に合わないです。もう死にますです。


 痛くしないでですぅ~!


 パーン!!


 あれ、メリッサ、まだ生きてるですね? どうしてでしょう?



  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ほとんどまぐれだったけど、当たって良かった!


 跳び上がった狼の頭が吹き飛んだおかげで、女の子は腰を抜かしたくらいですんだようだ。

 ただ、問題はこれからだ。残りの狼がこっちに向かってくる。


 うわ、ヤバイ!!


 いや、逆だ! あの子から離れてくれたならレヴァの力はいくらでも使える。

 まずは散弾銃のようにして広げて撃ってみる。

「ショットガン・フレイム!」

 万一の場合のためにイメージトレーニングしてたのが役に立った。

 あと、名前も……。

 ひとつひとつの威力は弱いけど、百に迫る火炎が横殴りに広がる。

 死んだ奴はいない。でも、とりあえず狼たちの動きは止まった。


 こうなればこっちのものだ。

 一匹ずつ仕留めていく。


 さっきの散弾を顔面に喰らってもだえている奴は後回しにして、元気な奴から潰していく。


 結局、半分くらい倒した処で残りは逃げていった。


【ほお、中々やるな! あんな撃ち方があるとは、な】


「レヴァか? あれは“散弾”っていうんだよ」


【うかつに声を出すな! 人に見られているぞ】



 おっとまずい!

 岩の上にいる女の子、じっとこっちを見てた。


 それにしても可愛いなぁ。


 あれ!


 今、気付いたけど、ここからあの岩場まで楽に百メートル以上はあるんだけど?

 何でこんなに顔がはっきり見えるの?


【ふふん! それは我の力よ】


 お前の?!


【当然で有ろう。 我の炎は『追撃の矢』でもある。

 どこにいても狙った獲物を逃がす事は無い!

 つまり、我が表に出ている時、お主の目は普通では無い、という訳だ】


 何、その自動追尾式ミサイルみたいなの?

 自衛隊の新兵器?


 あ、それで、さっき、あんなに離れてても当たったんだ・・・・・・

 ちぇ! 自分の力だと思ったのに……。


【いや、今回の闘い。目はともかく『追撃』は一度も使っておらん。

 残念だが、今の処、それほどの力は回復してはおらんのだ。

 つまり、まぐれとは云え、そこは全てお主の実力だな】


 おっ! 嬉しいね!


【どうでも良いが、あの娘はどうするのだ?

 ずっとこちらを見て居るぞ?】



 そう言えば、そうだ。

 どうやらかなり“へたって”いる様で、今にも岩から落っこちそうだ。

 急がなくっちゃ!

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