第2話 落葉

 


 二人は≪やしろ≫の依頼で電車移動していた。


 近鉄奈良駅から急行で二駅目。

 六花とウチが訪れたのはなかはらという地域だ。


 駅前は大型複合施設が出来て以来それなりの活気を見せているが、駅から離れると少し元気がない。



 ウチ達は長い陸橋を登り団地を目指す。

 中央病院と古い商店街を通り過ぎ団地へと入ると、団地の中に川や鳥小屋があり面白い場所だった。

 道路に当たるまで直進し、団地の敷地の角までいく。


 向こう側に見えるは…恐らく花屋か何かだったのだろう。朽ちた2階建ての住居があり、横には古めかしいタバコの自販機が朽ちていた。



 六花は暫く様子を伺い、キキンッ!と神速で結界を張る。


 またウチ、中にいてる!


 神衣に着替えた六花は大きく伸びてるススキを分け入り中に何かを見つけると、刀を地面に突き立てた。



 ドンッ!



 地響きがした。終わったのか?

 いや、住居跡の屋根に逢禍がいる!


 昨日見たものよりは小さかったがそれでも大人より大きくて酷く獰猛に見える。

 一息で屋根の上に六花が登る。


「初瀬川六花、参る!」


相変わらず身体に当たる圧が凄まじい!



 朱き神器を手に猛烈な勢いで切りかかる!


 ウチは六花の足手まといにならない様にタバコ自販機の影に隠れてみる。

 それでも危なかったら団地側に電話ボックスがあるからそこまで退避しよう。

 そういやこの結界どこまでカバーしてるんだろう?



 上は攻防激しく、切っても切っても再生する様だった。

 切断と再生の応酬が続く。


「舞散らせ…落花流水!」


 六花が神速で刀を繰り出し、周囲の団地まで切断!

 逢禍も切断された部分が再生しない!


 そう思った瞬間!

 鋭い針の様な攻撃が一斉に伸びて六花を襲う!!


列列椿つらつらつばき!!!」



 六花の流水の様な流れる刀裁きが見えない程早く、切断した棘の部分に椿が咲いて再生を抑えている!

 切り落とし、切り落とし、切り落とし、そして最後の刃が本体に届き、屋根からまるで椿の花の様に落ちて消えた。



 一瞬ひやっとしたが六花が無事で良かった!


 結界を解き、武装を解き、六花は先程刀を突き刺した地面の辺りで手を合わせた。

 見ると、小さな御社みたいなのと…大量の動物の骨。

 あの逢禍はここから湧いたのだろうか?



 六花は…静かに泣いていた。


 良いやつだ。動物に涙を流してやれる友人を大切に、誇りに思う。

 ウチも習って横で手を合わせる。


 ふっと振り向き、泣き顔の六花が言った。


「…月巴ひゃん…舌噛んでいひゃいの…」


「それで泣いてたの!?」


「ちゅらちゅらちゅばきって言いにくくへ…」


「ちょっとしゃがんで…はい大きく口あーんして!舌も出す!…ちょっと腫れてるが大きな裂傷ではなさそうだな。暫くは辛いものとか駄目だからね?」


 頭を撫でてやると少し元気がみたいだった。

 ちょろい。ちょろっか!






 休日は終わり、今日からまた平凡な小学生ライフが始まる。


 週末に2回も非日常に触れてしまったからちょっと不安だったが、いつものルーティンに戻すと意外にもメンタルは元に戻った。


 6年1組、それがウチのクラス。

 一クラス33人。女子の方が若干人数多いが男子が苦手なウチからしたら有難い。


「つきはちゃん、おはよー!」


「ツッキーちぃーっす!」


 先に挨拶してきたロングポニテの方が杏海波からももみなみ、後から来た元気のいいウルフカットが鵲安波かささぎあんなだ。

 二人とも名前に波が付いてるだけにとても元気だ。


「ナミーズおはー」


「どーした?元気なくない?」


「そーだね、普通のつきはちゃんよりちょっと元気ない??」


「突然普通のウチってキャラ作るな。普通とは何を持って普通というのかっ!」


「まーたツッキーが難しい事言い出した。」


「つきはちゃん、大丈夫?保健室行く?」


「熱はないし、風邪も引いてない!通常営業だよっ!」


「……!あー!そかそかごめん気が付かなくて!これ分けてあげるね」

 小声でそっと差し出される鎮痛剤。


「ちっがーう!優しいけどっ!半分優しいどころか100%優しいけど違うからっ!////」

 顔が赤くなってるのが自分で分かるからさっと安波に返品した。





 放課後。


 少し遅めだが円満に学業を終える。

 奈良公園を南から縦断し、いつもの参道、いつもの場所に彼女の姿が見えた。



「ただいまー」


「月巴さんおかえりなさい!」


「なんか毎日いてない?」


「巫覡も神社も人手不足で…」


 神事にまで人手不足の波が…



「時給もがっつり上げて欲しい!」


「命かけてるんだから固定給ガッツリもらえよ…」


「神様がけち臭い…」


「神様いたら直談判しそうな勢い!」


 薄給で酷使されてそうで現在の時給聞くのマジ怖い…


「そろそろ帰れそうなんで巫女装束に着替えてきますね!Bダッシュで戻る!」


「あれ?いつものあの巫女服は着たら駄目なのか?」


「あれ、結界無しで常用すると悪い霊・良い霊はおろか動植物全てが徐々に死滅していくのでー!」


 とんでもなくやべーブツだった!!!!!





 御飯、風呂をすまし自室に籠る。

 パジャマ姿でベッドの上で仰向けになってふと考える。

 ずっと遊んできたゲーム女子が、実は神懸りな力で訳のわからない化物と命懸けで戦っていた。


 六花は見た所相当な強さなのは明白。

 ただ、凡人のウチには測りかねる領域だし、万が一という事もある。

 …六花に何かあれば、きっと今の心では喪失感に耐えられない。



 バァン!


「月巴ー!寝てるかしらー!?」


「そう思うなら寝かせてー!」


 勢い良くドアを開けて入ってきたのは姉の雪巴ゆきはだ。

 2つ上で、当家の家業の正当継承者だ。


「あれ?どうしたの、涙目だけど?」


「眠いだけだよ…雪めっちゃ元気だけど修行どうなの?」


「ハードすぎですわー!父さんアレがアレじゃない?修行もアレだからもーアレなのですわー!」


「ちょっと何言ってるか分からないけど、大体分かった!」


「後継なんか複数でもいいと思うんだけどね?研鑽する内に新しい事に辿り着けるかもしれないのに…頭固いんだから父さんは!」


 継承を受け継ぎ、大変だというのに毎日明るく接してくれる雪は本当に性格がよく出来た姉だと手放しに自慢出来る。

 少々質の悪い悪戯もするがいい姉だ。

 やさぐれたり悪に染まったりしないでそのまま明るく育って欲しい。


 いや、フラグとかじゃなくマジで。





少し肌寒い、から割と肌寒いに季節が僅かに移ろいだ。


 昨今は春と秋の体感は皆無で植物のみがその見なくなった2つの季節の訪れを感じ取り、色付いてくれる。


 ウチは訪れる季節イベントの為にこそこそと家で作業を内緒で始めている。

対象に悟られぬように、年末のXデーまでに仕上げねばならない。





 土日のオアシカは流石に行列が出来る程の盛況ぶりだ。


 こういう映える様なコーヒー容器を持って寺や神社を回るのが観光客のステータスらしい。

 大人になってコーヒーの美味しさを理解出来る様になったら飲んでみよう。

 今は砂糖を入れないと苦い水にしか思えない。



 店に入るとほぼ満席で、テイクアウトの列で小町もスタッフも忙殺されている。


 そんな最中でも笑顔を欠かさないのは尊敬に値する。

 流石に営業中なので裏口から六花の部屋へ入った。


「いらっしゃい!月巴さん、今日はうち泊まっていくんですよね?」


「六花は迷惑かもだけど、あんな怪物が出る状況を知ってしまうと気になるし、暫くは毎週末世話になるよ?」


「やったー!おっ泊まりおっ泊まり~☆」


 今日こそレトロゲームの対戦で負かせてやる!






『…昨日起こった医療ミスの続報です。奈良市〇〇病院に入院していた78歳の女性が死亡した問題ですが、40代の看護師が誤って違う薬品を投与。患者は2時間後に亡くなったとの事です。この件につきましては明日病院側から会見が……』



 





 そういえば最近知ったのだが「月が綺麗ですね」の返答の「死んでもいいわ」が1970年代に伝聞が検証されたもので夏目漱石としての著書等として残ってるものはないのだとか。英語の授業で学生たちに訳させた「I love you」が流布されたとかなんとか。

漱石のこの話を見かけると、ある出来事を思い出す事がある。





 オアシカが閉まるまでご飯はお預けなので六花とレトロゲームで勝負する事にした。

 六花は早々と着替えていたが、ハムスター柄つなぎでフードの前のファスナーを閉じると完全にハムスターになる奴だ。 

 普通の部屋着はないのか?


 レトロゲームは対戦格闘ゲームで、スティックでは無くパッドで勝負だったのだが、この時代のゲームは→↓↘+ボタンは強いコマンドという風潮があったので、入力出来た方が断然強いのである。

 しかし二人ともこのコマンドが苦手でまぐれで出してKOするとドヤァ出来て楽しい。


「ドヤァ」


「声に出すな、割とイラッとする」


 平均的な勝ち数はウチの方が上なので、たまに六花の連勝が続くとこんなやり取りがあったりする。


『ブブー!』


「六花、今の何の音だ?」


「あ、こまこまの上がっていいよーご飯だよー!って合図です!」


「音変えろー、なんかクイズで不正解の気分になる」


「あー、このブザー、音の種類が正解か不正解しかなくて」


「丸ごともぎ取ってブザーごと変えろっ!」



「こまこまお疲れ様ー!」


「小町、いつも有難う」


「はい、大人力おとなりょくで六花の負けー!♪」

 六花が惨敗感で口から魂出てる。


「今日も美人の小町さんだぜぃ!♪…二人ともお腹の空き具合はどう?」


「うーん、中途半端にお腹が空いてる感じかな?」


「軽い物以上…ヘビーな物以下か、焼きそばとか餃子とか…あ、トンテキも出せるわよ?」


「トンテキがいいっ!」


「トンテキにする!」


「あいよ!作るから待っててー!♪」


 結局重た目の物に決めたが、二人の若い肉体が肉を欲しているのだ。

 もう若さ故の過ちと言っても過言ではない。



「こまこまご馳走様!」


「小町、美味しかった。これだけ何でも作れればいい花嫁になれるよ」


「はい、月巴ちゃんの勝利!」


 あ、六花がまたスネた。



「小町って、いつも土日はご飯作ってくれて遅くなってるけど、家は遠いのか?夜道とか大丈夫なのか?」


「イケメンみたいな心配有難う月巴ちゃん!でも歩いて10分の距離を自転車で来てるから大丈夫よ!」


「それなら良かった」


「不審者出たら轢くし♪」


「轢くなよ」


「強く轢く!」


「強い殺意!」



「良かったら今度遊びにおいで!ゲームはあまりないけど映画のBlu-Rayはそこそこあるわよ!」


「そうなのか!今度六花とお邪魔させて貰う」


「ちなみにBlu-Rayは全て私の厳選ホラー映画だからっ!」


「すまない、その日は用事があったんだ」



「前に六花に、私の一番オキニのホラー見せたら途中で気絶したもんね。月巴ちゃんも無理だったかー!」


「ホラーは無理!あのリアリティの無さ故の怖さととサプライズ的な脅かし方が無理!」


「私はもーこまこまの映画コレクションがトラウマで……」


 ある意味ホラーなのと戦ってる人がホラーを怖がってる。


「だーいじょうぶ!三人で見れば怖くなーい!」


「六花ー、ウチと一緒なら行けそう?」


「いく!」


「あらあら、月巴ちゃんの方がお姉さんみたいだね」

 何か言いたそうに口を開けた六花の動きが止まる。


「…逢禍…?分からないが出ます!」


「車出すよ!どのあたり!?」


「奈良町を南に抜けた…きっと病院あたり!」



 車には詳しくないから、車種は分からないが軽だろうか?お洒落な車で進む事五分程。

 恐らく病院であろうという六花の話なので横のコンビニの端っこに車を止めさせてもらう。

 ごめんなさい、あとで何か買います。


 先に出た六花を追って病院の敷地に入ると、六花が誰かと話していた。


 あの人は…ウチも見覚えがある。


 てか、六花が…アイツ着替えてないからハムスターのまんまだーーー!!

 小町がちょっと吹きそうになってたのはこの際見なかった事にする。




「―――堀内さん?」


 以前六花が話してた奥さんが入院中の年配男性だった。


「……けったいな格好してるがいつもの巫女さんやね?」


「…はい。堀内さんどうされたのですか?」


「…妻が…この病院で死んでん。死ぬ様な病気で入院しとらへんかった。医療ミスやと、今ニュースで騒動になってんな」


「…」

六花が悲痛な顔をする。


「何で…何デ妻は…死なnaキャナらへんかったノyaろなァaa…」


 胸の中心に向かって黒いものが吸い込まれ…逆噴射したかと思うと全身を包んだ。


 逢禍だ。


もう堀内さんの顔も黒いものがおおって見えない。


病院の方を向いたまま動かない。



 キキンッ!



 刀を鳴らし、多重結界を作る。

 その刹那、小町の姿が消える。これが通常の仕様で中に残ってるウチが異常なのだ。

 神衣を纏い、刀を構える六花にはいつもの気迫がない。


「…参りま…」


 カッ!


 口から赤いものを吐いて病院の上部を吹き飛ばした。

 爆発は巨大な煙をあげ、瓦礫を撒き散らす。

 2発!

 3発!

 病院がどんどん破壊されていく。


 逢禍は一切六花に見向きもしない。


 きっとこの逢禍は夏月大社も、六花も、恐らく人間も興味ない。


 只々妻を失った喪失感と、医療ミスという人災で妻を奪った病院への憤りのみの逢禍。



 六花は暫くその光景を見ていた。


 多重結界を解いたら建物も戻る。

 全ては虚構の建造物。

 どこにも被害はないが、六花はただ見ていた。


 逢禍の破壊力は凄まじく、ものの数分で病院は瓦礫の山となる。

 それを分かっても、逢禍は攻撃をやめなかった。


 慟哭どうこくの様な声をあげ、病院が限りなく平地に近い瓦礫の山になる頃には六花も既に構えるをやめていた。


「ツマモ…ワシモ…モウ…カエレナイ…ツマト…イエニカエリ…」


 逢禍は泣いてる様に見えた。


 キンッ!


「…夕紅葉」


 苦痛を与えない神速の抜刀術で、逢禍はゆっくり膝をつき倒れるように消えて行った。

 哀惜の念に堪えない。



 神衣を収納し多重結界を解く。

 病院も何事もなく、小町の姿も確認出来た。

 小町に少し待つ様に声をかけて、ウチは六花の所に走った。



「六花」


 ハムスターに戻った六花は無理矢理笑って、帰りましょうと言ったが…


「六花!」


 六花が動きを止める。


「ちょっと座れ」


 ゆっくりと座って丁度よい高さになった六花の頭ををウチは抱きしめた。

 周りから顔を見えないように抱きしめた。


 声もなく、六花は震えてた。

 頭を撫でてやるとウチの背中に回した六花の手が悔しそうに服を握りしめていた。



 じいさん、あんたのI LOVE YOUは月が無くても絶対に奥さんに届いてるから。










『…アレが障害か、面白い』








「月巴さんおはよー…」


 先に起きて寝顔を見ていたが割と元気そうだ。


「お早う六花。ちょっと待ってろ」


 台所を少し借りて日本茶を入れてやる。

 日本人だから、落ち着きたい時は日本茶だろう。

 前から気になってたが、台所の生活感が皆無なので冷蔵庫とポット位しか使ってないのだろう。

 オアシカの小町ご飯の利用頻度が伺える。


 そういや六花とウチのご飯代、いつも奢りだから、今度小町に礼をせねば。

 先日聞いた御神刀で一刀両断したシンクは直ってる。下手したら全交換だったのかも知れん。


「ふーふー」


 少し冷まして六花が一口飲む。

 美味しい…と呟いた。


「起床後は温かい水分をコップ一杯飲むのが良いらしいからな?辛い事もあったし内側からすっきりさせよう」


「…うん」


「逢禍って人が生み出してるのか?」


「はい…逢禍は色々なパターンがあります。完全に理性を失くした逢禍は夏月大社に向けて進行するのですが、逢禍になった直後はその方の恨みつらみが強かったりして、様々な行動を取ります。全て魂の尊厳を蔑ろにする第三者の仕業です」


 奥さんへの愛が強かったのだろうな、彼は病院にしか攻撃しなかった。


「人の摂理から外れた逢禍を生み出す者を、絶対に許せません」





 日曜日。


 逢禍は六花が探知出来るとしても、それの製造者に関しては情報がなさすぎる。

 結局ウチ達は後手に回るしかないのだろうか?

 謎の御社の大量設置もあるから迂闊に出歩けない。


 …ここのとこ色々情報量多かったからなー、たまには頭を空っぽにした方が良い考えに辿り着くかもしれない。 


「六花、例の御社って配置に規則性ないのか?」


 部屋で二人でカフェオレを飲みながら話す。

「ありがちな、小さな魔法陣大量設置で大きな魔法陣生成!みたいなのも一瞬考えたんですが、日本では西洋魔法陣の類は起動しないです」


「起動すらしないの?何かの干渉かな?」


「東京に、誰が計画したのか分かりづらく巨大な太極が設置されていて、その力が強いんです」


「太極…あの黒と白の奴だよな?日本て陰陽五行そんなに流行ってたっけ?」


「月巴さん何でも知ってますよねー!分からないですが、今現在過干渉しない存在ならあの対極はスルーで大丈夫です」


 六花は夏月大社の巫覡だからなぁ。地方にまで気にかけれないんだろう。

 しかも一人だし、手が回らないっていうのもあるのだろう。


「逆に、御社が比較的設置されていない方面てどこだ?夏月大社の周りは大物が出る。遠くには小さい御社が設置される。それって逢禍の力の関わりじゃないか?」


「関わり…」


「それぞれ逢禍は大なり小なり、出現するのにパワー?みたいな物がいると仮定する。それが人であり大量の動物。夏月大社の近くだと自浄作用で御社が不発するから遠くに設置した。もしこれらが自動発動して大小合さって襲ってきたら夏月大社にダメージ与えるに至るのでは…?って考えたんだが…範囲が広すぎるよな?」


「……いや、月巴さんの推論はかなりいいとこだと思います。」


「それと龍脈は見た?ここらへんぶっとい龍脈通ってたよね?」


 六花がキョトンとしてこちらを見てる。

 しまった!普通の小学生はそんなの知らねーよな!

 六花に変な目で見られそう…


「繋がりました!!!」


 吃驚した!なんだ?名探偵か!?

 じっちゃんがこの中にいるのか!?


「遠くまで考えなくて良かったんです。遠い御社は全部囮。おもちゃ屋付近、病院、犬沢池、夏月大社まで龍脈が続いています。そうなると逢禍の残った不浄を龍脈に乗せてぶつけるのが目的とするならば、繋げる最後の場所は…」


 ここからでも見えるは五重塔、そこは世界遺産・香福寺きょうふくじだった。


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