〈第二章〉Side:姫川京子 a Girl Ⅴ
『多文化社会Ⅱ』オンライン講義
【沢木】
これで出席者は、姫川さんだけでになりましたね。
【姫川】
はい。
でも、仕方ないですね。
わたしだって、次の講義に出席できるかわかりません。
【沢木】
はい、私も同じです。
姫川さんは、食事は、どうしていますか。
【姫川】
最近は、コンビニから缶詰をもらってきて食べることが多いですね。
【沢木】
私も同じですね。
少し前までは、カセットコンロを使って自炊をしていましたが、
もう、それも止めました。
【姫川】
どうしてですか?
【沢木】
……もう、疲れましたからです。
【姫川】
……。
【沢木】
話は、逸れますが、私は、始発の電車が好きでした。
特に、平日の都心から郊外へ向かう始発電車です。
この乗客達のほとんどは、
どこか現実離れした雰囲気を持つ人達が多かったです。
私は、気分が落ち込むと、
よく池袋駅から始発電車に乗り郊外へ向かいました。
【姫川】
先生……そろそろ講義を始めてもらえますか。
【沢木】
川越を過ぎたあたりから、落ち込んでいた気分が回復してきます。
【姫川】
先生……そろそろ……
【沢木】
ただ、気分が良くなったとしても、
それは一時のことで、
時間が経てば、今の絶望的な状況に引き戻されてしまいます。
【姫川】
先生……
【沢木】
だから……自ら[終わり]を選びたくなります。 姫川さんも、そう思いませんか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます