〈第二章〉Side:姫川京子 a Girl Ⅲ
大学図書館から外に出たわたしの手には、香城の本があった。その手に感じる重みは、わたしに安心感を与えた。
別に大学図書館内で読んでもよかったのだけど、わたし以外の人間の気配がある場所では落ち着いて読める気はしなかった。
わたしは「どこで読もうかな・・・」と、少し考えた後、せっかく大学に来たのだからと〈第一食堂〉に向かうことにした。
〈第一食堂〉は、大ヒットした映画に出てくる魔法学校の食堂によく雰囲気が似ていることで有名だった。
わたしも、その映画が好きだったので、入学当初から〈第一食堂〉で昼食をとるのが日常となっていた。
他の大学の学食でも食べたことがあるけど、それらに比べても〈第一食堂〉のメニューは、美味しい。
〈第一食堂〉へは、正面入口から入った。
幸いと言ってよいだろう・・・その中は、[白]に浸食されてなかった。
つまり、ここで終わりを迎えた人間はいないということだ。
そういえば、大学図書館内もほとんど白色に浸食されていなかった、とあらためて思った。
やはり、この奇病に感染した人間は、空の下での“終わり”を望む傾向があるのかもしれない。
そんなことを・・・またあらためて考えた。
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