第54話
そのはずだったのだが、
「かずき、どこいったんだろうなあ」
陽太は一人、キョロキョロと周辺を見回しながら歩いてる。
かずきとはぐれてしまったのだ。
迷子。
「まったく、かずき大人のくせに迷子だよ」
違う、逆である。
陽太が迷子なのである。
陽太がお菓子コーナーを見ていると、トイレに行くと言ってかずきはそこから離れ、お菓子を選ぶことに集中してた陽太はかずきの姿が見えないのに氣づき、店内の捜索を開始した。二人ははぐれてしまったのだ。
「迷子見なかった?」
陽太は買い物客の中年女性に話しかけた。
「いや、見てないよ、ぼく一人?」
「違うよ、見てないならいいや、ありがと」
違う人に話しかけた。
「かずき見なかった?」
知らない人に固有名詞を言ってもわかるわけがない。
「だれ、かずきって」
その人は戸惑い気味にそう言った。
「ありがと」
次に行く。
「ねえ、かずき知らない?」
二十代ほどの男性店員に問いかけた。
「ん? かずきは俺だけど」
陽太はかずきではない人にかずきは俺だと言われて唖然となった。
そそくさとその場から立ち去った。
スーパーは子供一人で歩くとかなり広く少々くたびれてきた。
「しかたないなあ」
陽太はサービスカウンターに行ってそこにいた若い女性店員に話しかける。
「お姉さん」
「どうしたの?」
カウンターから女性が出てきて陽太の目線に合わせるため、しゃがんでくれた。
「迷子なっちゃった」
「迷子になっちゃたの? 大丈夫?」
「うんう、一緒にきている大人が迷子になったから呼んでほしくて」
「そうなんだ、それは大変ね」
と女性は優しい笑顔で陽太の話を聞いて、アナウンスを流した。
ピンポンパンポーン。
数分後。
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