第41話

 色づいた、秋の紅葉がひらり、ひらり、と踊りながら、枝の先から離れていった。

 まるで、自由になったのを楽しんでいるように。

 公園で陽太は近所の子供たちと隠れんぼをしていた。

「陽太君、700数えてね」

 カレンは、念を押すようにそう言った。

「うん、わかったって」

 悟大はそそくさと隠れようとしている。

「んじゃあ、はじめるよお! 1、2、3……」

 手で目を隠し、陽太は数を数え始める。

 少し離れて、カレンは隠れる場所を探し始めた。

 陽太は、人の氣配がしなくなったので、

「700!」

 とちゃんとは数えずに目から手をどけ、隠れんぼをスタートする。

「カレンちゃんみっけ!」

「ちょっと! 数えるのが早すぎる!」

 大きな声でカレンは言った。

「もういいよーっていったじゃん」

 と、陽太。

「言ってない!」

 陽太は、また数を数える羽目になったのである。

「ほんと、カレンちゃんってわがままだもんなあ」

 と、独り言をもらす。

かくれんぼは、中国から伝来したと言う説がある。古く中国では宮廷内で行われていた迷蔵と呼ばれるかくれんぼに似た遊戯が行われていたそうである。

 日本には平安時代以前に伝わったとされ、最初は山に女が隠れ、恋人の男がそれを探しに行くという遊びだったようだ。現在知られるようなかくれんぼが広まったのは江戸時代と言われている。

「マジカルバナナしようぜ」

 悟大が、カレンと陽太にいった。

陽太「いいよー」

カレン「うん」

悟大「よーし、マジカルバナナ!」

「バナナと言ったら黄色」

「黄色と言ったらレモン」

「レモンと言ったらすっぱい」

「酸っぱいと言ったら梅干し」

「梅干しと言ったらすっぱい」

「すっぱいと言ったらレモン」

「待って、待って、待って、堂々巡りになるよ」

「仕切り直しだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る