第33話

 別に目的意識があって生きている訳じゃない。

 ただなんとなく、

 選んだ会社で働いてただけだった。

特に不満もなかったけれど、

 与えて貰うことをこなしていく日々が何故だが嫌になっていた。

 息苦しかった。

 人になにかを決められるなんてごめんだ。

 自分の意志で動きたかった。

 けど、

 特にやりたいこともなく、

 ただ生きて、

 やりたいことがなくなれば死のうとか言う人がいるけど、

 最初からやりたいことがない俺は、別に死にたいとも思わない、

 死ぬことは簡単だよという人もいれば、生きてくほうが簡単だよという人もいて、

 どっちでもいいけれど、

 考えて考えてやりたいことが見つからず、待てば見つかると思っていたのだけれど、

 そうでもなくて、

 なにか夢中になれるものがあったら、

 きっと幸せなのだろうとも思うけど、

 今はただただなんとなく生きていくのも悪くないような氣がする。

 こういうふうに夢とかが無いことが普通なのかな。

 こういうふうにやりたいことが無い人たちが大半なのか、

 それともそうでもないのだろうか、

 自分は他人じゃないからわからないけど。

 普通ってなんだろう。

 普通って人の数だけあるのかな。

あいつと出会い、

 あいつを見てて、

 なんかそう思えるようになっていた。

 日常ってわるくない。

 いつまでもこんな日々だったらいいな。

 人生は暇つぶし、

 寿命がもしも百二十だとしたら、

 あと、百年近く生きられる。

 今の時点で十分に生きてきたと思ったりもするけれど、

 その時、その時に適当にやっていくでもいいような氣がしてきた。

 悩んでたのがバカみたいだな。

 楽しく生きる、

 そんな感じでいいのかな。

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