第31話
二人は祭りに来ていた。
出店がずらりと並んでいて、ほんのりとした灯りが遠くに続いている。
「かずき、これ甘いね」
「だろ」
わたあめをモグモグとほうばっている。
かずきは骨がついている鳥モモ肉を食べていた。
ふと、かずきは通りがかりの屋台に目をやった。
(金魚すくいか)
小学校三年くらいの少年が、小さな赤を追いかけている。
もう一人、そこの隣にやって来た。
「おい、ババア、お客だぞ、ぽいよこせよ」
高校生くらいだろうか女の子が店番をしながら、泳ぐ金魚を眺めてた。
「……」
その女の子は無表情のまま、声をかけてきた男の子に見えないよう、ぽいにデコピンを何回かして渡した。
「やめとこ……」
かずきは金魚すくいを見なかったことにする。
「かずき、あれやりたい」
陽太は目を輝かせて、くじ引きをじーと眺めていた。
「おう」
小さな店に所狭しと色々な景品たちが並べられ、一等に子供達の間で流行ってるキャラクターのフィギュアが飾られていた。
陽太は箱に手を入れてクジを引く。
三角に折られた紙を開くと、数字が記してあり、その番号に合った景品を貰えた。
「もう一回」
「もう一回」
「もう一回」
数十回とつづけてた。
すっかりはまってしまったようだ。
「何回やんだよ……」
「面白いこれ」
ニンマリとした陽太。
「同じおもちゃ貰ってるだけじゃねえか」
あきれるかずき。
そのうちに、今までのおもちゃより良いものがきた。
「やったー!」
「帰るか」
「うん!」
一番最後に当たったおもちゃを陽太は嬉しそうに胸に抱えて、
かずきはおもちゃが詰まった袋を両手にぶら下げ、帰路につく。
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