第28話

 ちょっと前の話。

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 好き。

 カンカンと階段を上がる人物がいた。

 蝉の声がうるさいくらい聞こえてくる。

 呼び鈴も押さず、ノックもせずにその人物はガチャリと戸を開ける。

「かずきー」

 女はその部屋の主人の名を大きな声で呼び、土間に上がった。

かずきは、扇風機の前に座って涼んでいた。

「よお、久しぶり」

「きいてよ!」

 ずかずかと上がりこむ。

「鉄二がさあ!」

 氣の強そうな、髪を金髪にした女が靴を土間に脱ぎ散らかし、居間に入ろうとした時、浴室のドアが開いた。

 佳奈はビックリして後ろを振り向く。

「女!?」

佳奈はかずきが部屋に女性を連れ込んでいるのかと勘違いをした。が、風呂の戸を開けたのはオレンジ頭の子供だった。

「え……」

 少年は目を見開いて凍りつく。

 佳奈はかずきに質問しようと目をやる。

「かずき、この可愛い子なに」

「いそうろう」

「あんた、まさか子供作ってたの」

「ちげえ」

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