第25話
「しばらくむりだな」
鉄二はどっと背中を倒し、頭の下に手を組んだ。
「わりいことしてたバチでもあたったんだろ」
「かもな」
三人でうだうだしてた。
風鈴が揺れ、
チリリン、チリリン。
「花火でもしようぜ」
寝ていたかずきは上体を起こして提案を口にする。
「花火ってなに?」
「んー、いろんな色の火を見て楽しむ遊びかな」とかずきがいう。
三人は花火を買いに部屋を出た。
夜の公園。
ライターの火でロウソクの尻尾を溶かし地面に立てる。
「ほら」
鉄二は陽太に一本花火を渡す。
「どうやるの?」
「ここに火をつけてみ」
「うん」
ロウソクの火に、握った物を近づける。
先端の紙がチリチリとなり、火の粒が勢いよく噴き出した。
陽太の瞳に火花が咲き、キラキラと映り込む。
「すごいね」
「そうだろ」
応える鉄二。
しばらくの間いろんな花火をつけて遊んでた。
よーしこれやってみよ、陽太が花火の入った袋から一本だして火に近づける。
かずきはそれを見て目を見張る。
「それは、ロケット花火だ! 向こう向けろ!」
陽太はかずきの声を聞いて、思わず持っていた花火をポイと、投げた。
ヒュン! バン!
闇を光が駆けて弾けた。
少年はロケット花火を見つめる。
「なにあれ」
「人に向けたら危ない奴だからな、氣をつけるんだぞ」
おしえるかずき。
「うん」
袋の中はもう空になりそうだった。
「最後は線香花火だな、一番最後まで残ったやつが勝ちだ!」
と鉄二が言う。
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