第18話
「わああ」
「逃げろ!」
三人はその場を去ったのであった
陽太に二人、友達ができた日だった。
読んでいた本をパタリと閉じ、足を振る反動で上体を起こしたかずき。
「よし、今日の夜出かけるぞ」
「どこに?」
陽太は絵本に落としていた視線をかずきに移した。
「蛍を見に行こう」
「蛍ってなに?」
陽太は蛍を知らない。
「なにって言われても困るな、光る虫だよ、今の時期しか見られないんだ」
「なんで今の時期だけなの?」
「死んじゃうんだ」
「なんで死んじゃうの?」
「寿命だよ。短い間しか飛ばないんだけどな、凄く綺麗なんだよな」
ふーんと陽太は、
「見てみたい」
といった。
「志乃も誘ってみようよ」
そう言われ、かずきは電話を手に取る。
はい
あの、もしもしかずきです
どうしたの?
今日の夜でかけませんか?
でかけません
忙しかったですか?
全然
蛍を見に行きませんか
行きません
そうですか
嘘だよ、行きます
よかった
ところで蛍ってなに?
え?
嘘よ
でしょうね
「少し早くついちゃったね」
三人は電車に乗って、町から外れた蛍が見える場所までやって来た。
古びた駅の改札を抜け、剥げたベンチが中央に二つ、も一つベンチが壁につけてある。
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