第17話

「へー」と、陽太は自分の手を広げて見た。

「土ついちゃったよ」

「氣にすんな!」

 と悟大は手をパッパッと払った。陽太もそれを真似る。

「そうだ、今日さ面白いの見つけたから三人で見に行こう!」

「どこ行くの?」

 カレンが問うと、こっち! と、悟大は歩きだした。

悟大を先頭にしばらく歩いてた。

「ねえ、いつつくのー」

 疲れたと言わんばかりにカレンは言った。

「もうちょっとだよ」「さっきも言ってたじゃん」「うるさい」

 いつもこんなんなのかなと思いつつ、こめかみを掻く陽太。

 川沿いの道。

「見てみろよこれ」

 オオサンショウウオがグッタリとしていた。

「なに?」

「なんだろ」

「最初、うんこだと思ったんだけどさ、違うよなあ」

「悟大君、汚なあい」

 オオサンショウウオであった。

「うん、違うと思うよ」

 オオサンショウウオである。

「陽太君、ツンツンしてみなよ」

 悟大が陽太をうながす。

「やだなあ」

 陽太は苦い顔をした。

「じゃあ、ジャンケンで負けたやつがしてみようぜ」

「えー!」

「やだなあ」

 と、いいつつ。

「ジャーンケーンポン!」

「カレンちゃんのまけー」

「えー、やだー」

 と、いいつつ。

 おそるおそるも、カレンは指でそれをつついた。

「えい!」

 つんつん

 オオサンショウウオがもんどりを打つ。

「キャ! うごいたー!」

「うんこが動いた!」

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