第16話

「囲碁の方が面白いやい」

「そんなことないね」

「全然わかんないもん」

「わかれば面白いんだよ」

 

陽太は近所の公園で一人、ベンチに座って、

 脚をぶらぶらとさせて空を見て、

 雲はゆっくりと、動いていないようにみえるが確かな風に吹かれ動いて、

 鳥たちは編隊をくみ飛んでいる。

「ねえ、ねえ」

 話しかけられ、声の方に顔を向ける。

 陽太と同じ年代の女の子。ピンク色のワンピースに赤い靴。髪の毛を二つに分けて頭の上でまとめてた。

「なに?」

「一緒に遊ばない?」

「え? 友達いないの?」

「いるよ! いるんだけどね、あそこにいるの悟大(ごだい)君っていうんだけど、かれ自由すぎて私ついていけなくて……」

女の子は手を後ろに組み、少しもじもじとする。

 向かい側のベンチで車のおもちゃだろうか、で遊んでる同年代の男の子が目に入った。

「いいよ」

 陽太は笑顔で応える。

「私、カレンよろしくね」

 女の子も花のような笑顔で返す。

「僕は陽太」

「悟大君にも紹介するね、きて」

 二人は向こう側にいる悟大の方へ。

「悟大君! 仲間増えたよ! 陽太君っていうんだって」

「ん?」

 悟大は手を止めて陽太に目を移した、小さくて丸い目、顔は肉付きがよくまるまるだ。

「よろしく、俺は悟大」

 悟大は手を差し出す。土がついてて汚れてる。

「僕は陽太、よろしくね」

 陽太は悟大の手をまじまじと見つめた。

「握手だよ、握手!」

「握手?」

 どうすればいいのかわからなくて陽太は戸惑っていた。

「こうすんだよ」

 悟大は陽太の手を取り握手を交わす。

「挨拶みたいなもんだよ、おはようみたいな」

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