第9話
「燃えるけど、燃えないゴミとか燃えないけど燃えるゴミとか、わけわかんないよ!」
「慣れてくれ!」
絶え間なく降る雨の音、建物をつたい大きくなった雫がエアコンの室外機に落ちて響くようなポンッ、ポンッ、と水の音を立てていた。
ピチョ、ピチョ、と水たまりに粒が音を響かせる。
水の波紋が広がった。
「雨、好きなの?」
と陽太は問いかけた。
「べつに雨の日に出かけてるからって好きなわけではないだろ」
「濡れちゃうよ」
「雨が降ってるんだから当然だろう」
「寒くなる」
「傘をかぶってるから平氣だ」
陽太は、はあと息をはく。
黄色い傘に黄の長靴、黄色の合羽、小さい方はそんな装い。
大きい方は青かった。
「人が歩いていなくて、意外といいもんなんだよ、雨の日の散歩も」
とかずきは言いながら、近所の道を歩いてた。
車が水を踏み走る。
ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン
シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
パチャ、パチャ、
ポツン!
パチャ!
サーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツポツ
ビニール傘にボツボツボツ、パン! ボツボツボツ、パン! と、ときおり大きな粒が当たったりした。
ゴーと下水の音がする。濁った水がうねるように過ぎ去る。
水の音で溢れていた。
過ぎていく家の玄関にオレンジのカッパがぶら下がってる。誰かを待っているのか寂しそうだった。
猫を抱えたおばさんが玄関に立っていた。
ニャーオ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます