第8話
ジーと音を鳴らして、一葉の写真をカメラが吐き出す。
「ほら」
写真を陽太に渡した。
「かずきだ、じゃあ隣にいるのは僕か」
「なに初めて自分の顔みるみたいにいってんだよ」
かずきは後でコルクボードを買うことにした。
立ち上がり、机にあったオレンジジュースの缶を持って台所の方へむかう。
ぽい
「ああ、缶はそれに入れないでくれ」
陽太は燃えるゴミに空き缶を捨ててた。
「なんで? ごみを入れてるんじゃないのこの箱」
不思議そうなまなざしをかずきに向けて聞く。
「分けてんだよ」
「缶はこっちだ」
座布団を枕に寝転がっていたかずきはさっと立ち上がり燃えるゴミから空き缶をとりだした。もう一つのゴミ箱に缶を捨てる。
ぽい
「じゃあ、同じ銀色だしポテチの袋もこっちだね!」
食べ終えた塩味の袋を缶と同じところへぽいっ、と入れる。
「違うんだよなあ、それは燃えるゴミでいいよ」
かずきはポテチの袋を別のほうに入れる。
ぽい
「わかんないよ」
陽太はかずきを見上げていう。
「わかってくれよおお」
陽太は居間へ戻り、なにかを持ってきた。
「じゃあ、これはどっちなの」
さっきまでとんかつが入ってたプラスチックのタッパーを持っている。
「それも燃えるゴミでいい、本当はプラスチックで分別しなきゃいけないんだけどな、めんどくせえからやってないんだ」
「違うんじゃん」
「全部燃えるんだよ」
「じゃあ、缶も燃えるんじゃないの」
「燃えるけどな、ちゃんと燃えないんだよそれは」
「全然わかんない!」
「わかってくれええええ」
「じゃあ、これは!」
さきほど食べたバナナの皮を持ってきた。
「それは燃えないけど、燃えるゴミでいい」
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