第7話
「やあ!」
確かに割れなかった。
話はスーパーで買い物をし終えた当たりまで戻る。
「ねえ、あれやろうよ」
陽太は宝くじ売り場を指さす。
「ありゃ、子供がやるもんじゃないんだよ」
「かずきがやるのー」
しかたなくかずきはクジを買って十円玉で削った。
銀色のカスが削れた。
なんと、五万円が当たったのだ。
「うそ……だろ」
机に置いた現金を頬杖をつき眺めてた。
「よかったね」
少年はニコニコと微笑んでいた。
「ギャンブルとか好きじゃないんだよなあ」
「なんで?」
「あんな不確実な方法で金を貰えるんだったら確実に稼ぐ方法を身につけたいと思うよ俺は」
「よくわかんないや」
陽太はつぶらな瞳をかずきに向ける。
「だよな、金は金だ、大切に使おう」
「僕も使っていいかな」
おもむろに陽太は手を伸ばした。
ぺしとかずきはやおら伸びた手を叩いた。
「金っていうのはな、力がある物なんだよ、武器みたいなものだ、子供が持っていい物じゃないんだよ」
陽太はちぇっといいながらまたココアをすすった。スーパーで買った牛乳とココアの粉末でかずきが作ったのを美味しい! と、きにった様子であった。
「なんか、ココアって優しい味がするね」
「んー、わからなくもないな」
「かずきみたい!」
陽太は笑顔でそう言う。
「なんだそりゃ」
まんざらじゃなさそうにかずきは笑う。それから机の横に置いてある紙袋を自分の方に引き寄せ、ごそごそとあさりだす。
福引きで、撮ってすぐ現像されるインスタントカメラも貰ったのだ。
「せっかくだし撮るか」
「なにそれ」
「まあ、見てろ」
かずきは自分と陽太がはいるよう手を伸ばしシャッターを切る。
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