第17話

「夫とか結婚しろとか言われても、俺には妻が居るから無理なの」


「構わんと言っているだろう。余は主と契りを交わしたいのだ」


「構わんって、お前らが良くても妻達が...」


「その言い方ですと常に複数人はいるみたいですね。今から1人2人増えようが変わりませんよ?」


どうしても引いてくれない2人はレイヤは困っていた表情を浮かべる。メイドの少女が出した大型魔導車でビリが運転を担当をして、後ろでレイヤは2人の少女に挟まれていた。


「マスターの婦人様方も冒険者なのですか?」


「え?そうだけど?」


「なら、こうしましょう。私がマスターの婦人様方に負ければキッパリ諦めます。大丈夫です、殺さないと約束をします」


「...そう簡単に言うけど、俺の妻は強いぞ?」


特にリン...もしかしたらクロエもかもしれないが、この2人には敵わないかもしれねぇぞ?まぁ、2人の本気を知らないから断言は出来ないけど。


「まぁ、せいぜい頑張れよ。少なくとリン...俺の幼馴染は互いの調子次第だが俺に勝つ事はあるぞ?」


「マスターと同格の人物が少なとも1人はいるのですね」


「へぇ、主の夫になるには強なければ行けない訳か、いいだろう!余ももう一度高みを目指すのも悪くない。主のモノになるに相応しい女になってみせる」


「はぁ〜」


「レイヤさん大変ですね」


ビリはバックミラーからレイヤに対して何とも言えない表情が見えてくる。そして1時間を掛けていつものの街に着いたのだ。


「それでは、レイヤさん。私はギルドに報告いたしますので、このまま帰っても大丈夫ですよ。報酬金はまた後日ギルドでお渡しいたします」


「分かった。ご苦労だったなビリ」


ビリはギルドに向かいレイヤは脚が重くなった感覚で宿に向かって行った。その間後ろでジャンヌとメイド少女は話をしているが、レイヤはずっと頭の中でどう言い訳をすれば良いのかと考えていた。


「あの〜入ります...」


「おかえり」


レイヤは恐る恐るドアの鍵を開けて中に入る。

真っ先にリビングの椅子で本を読んでいたクロエと目が合った。レイヤの後ろにいた2人の美少女に目を移すと何か察したような表現を浮かべる。


「...あー、リンちゃん〜レイちゃんが他の女に手を出しちゃったぽいよ」


「ちょっ!まだ出してないから!」


「まだとか言ってるよ〜」


「違う!」


「仕事に行ったんじゃないですか?」


呆れた表情で壁に寄りかかっているカナデがいた。


「そ、そうなんだけど。俺も何がなんだか」


この後リンやアリスがやってきて、さっきの出来事を詳しく説明をしたのだ。このころビリはルハラやギルド長がいる部屋でレイヤの実力を説明をする。


「それで、レイヤさんはどうでしたか?」


「はい、ルハラさんの言う通りレイヤさんはBランク以上の実力はあります。私の判断ですがもしかしたらA...いやSランクの実力に届きえるかと思います」


「Sか...」


2人の間で足を組んで座っている傷だらけの大男のおっさんバサラが興味を抱いた。


「お前がそこまで言う程って訳か。一度お目にかかりたいのう。そのレイヤとやらの冒険者に」


「ビリ君、それでこの報告書に書いてある問題の発端となった女性とメイドの格好をした女性はどうしたの?」


「はい、この2人はレイヤさんの妻になるとか付いて行きました。この2人もレイヤさんと劣らずした実力を持っています」


「少なくともレイヤのパーティにはSランクの実力者が3人いると言う事ですね」


「いえ、少なくとも4人だと思います」


「どうしてそう思ったの?」


「あの3人の話から聞いたのですが、リンさんもレイヤと同じぐらいの実力があると言っていました」


「面白いじゃないか!」


するとバサラがいきなり立ち上がる。


「パーティ平均ランクはEだが、実力はSの集まり。近々このワシからの依頼をやらせたい」


バサラの考えにビリは息を呑んだ。


「もしかして、あれをやらせるのですか?」


「そうだ!」


そしてルハラは笑みをこぼした。


「血の女王ですか...もしかしたら彼らなら倒せるかもしれませんね」

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