第15話
「ん〜〜あれ?」
リンはベッドから起き上がり背伸びをしていると、レイヤの姿が見かけなかった。
「クロエ〜、レイヤは?」
リンは本を読んでいるクロエに問いかける。
「レイちゃんは1人で仕事。ボク達は休んでてだって」
「えぇ〜そうなんだ。いつぐらい帰ってくるって?」
「今日中じゃない?」
「そうなんだ。最近、レイヤとずっと一緒にいたから、離れ離れになるのは久しぶりだな」
リンは少し悲しそうな表情を浮かべる。
「そういえば、レイさんとリンさんの子供の頃ってどんな感じなんですか?」
「ん?あたしはただの我儘なガキでレイヤ大好きな感じだったよ。今とあんまり変わらないかな?...でも、レイヤはすごく変わった」
「ご主人様が?そんなに昔と違うのですか?」
「私も気になります」
アリスとカナデは昔のレイヤに興味深々だった、本を読んでいるクロエも若干興味なさそうな顔をしているが内心興味深々なのだ。
「うん、あたしとレイヤが初めて会った時は全然違うんだよ。うーん、なんて説明すれば良いんだろう。なんか、こう全てのものに興味がないの。レイヤはね最初の頃は無口なんだよ」
「レイさんが無口...」
今のレイヤには考えられない事だった。
「ご主人様は一体どんな人生を歩んで来たのですか?」
「うーん、確か3歳の頃に始めて剣を握ったって言ってたな。そして5歳で大男の戦士を倒したの」
「5歳で戦士を...」
たった5歳で大の大人を倒したと聞いてカナデやアリスは驚いた表情を浮かべる。
「そこがあたしとレイヤと始めて会ったのかな。あの時始めて同年代であたしより強い人と出会ったの。多分そこが惹かれたんだろうね」
「へぇ、ロマンチックですね」
「まだ、レイヤの凄いところは終わらないよ。8歳でレイヤの故郷の全ての道場破りをして見事に制覇して、10歳の時に国最強と言われてた剣豪とのタイマンで勝利して、12歳で将軍として兵士の指揮をとってたの」
「12歳で将軍!?」
「そう、レイヤが将軍になった事で多々ある戦の勝率が上がったけど、やっぱりレイヤはまだ子供の事でよくも思っていないお偉いさん達がいたの」
「レイさんって凄いですね」
「うん!レイヤは凄いよ!めちゃくちゃ強くてカッコいいあたしの大好きなレイヤだもん!」
リンは自分の事の様にレイヤの偉業を嬉しそうに語り、レイヤの事を心から想った気持ちを少し恥ずかしそうに笑いながらカナデ達に語ったのだ。
その頃レイヤは、ジャンヌとメイド少女との戦いで2人に見下ろされた状態で膝をついていたのだった。
「はぁはぁはぁ...」
「おかしいですね。私が感じた魔力も比に合っていない実力、あまりにも弱すぎます」
「態度だけが大きかったようだね。あーあ、まさかやっと来たと思ったが、あまりにも弱い事に行が覚めたよ」
「レイヤさんが手も足も出ないとは...」
岩の裏で隠れていたビリはレイヤが瞬殺され、2人から感じる闘気に足をガクブルと震えていたのだ。
「さてと、ジャンヌ様。私はマスター探しを再開したいと思います」
「余もパートナー探しの続きをしないとな」
「待てよ...」
2人が帰ろうとした途端、レイヤに呼び止められるのだ。
「ははっ、ここまでコテンパされたのはリン以降か?軽い仕事を引き受けたつもりだったが、まさか大当たりを引くとは思わなかったよ」
レイヤは刀を支え代わりにして立ち上がる。
「ほーう、余達の攻撃を受けてまだ立ち上がるのか」
「どうやらお前らの期待には応えられなかった様だな。いいぜぇ、久々の本気で行こうとするか」
レイヤが不気味な笑みを浮かべた瞬間、2人には背筋が凍る感覚が走る。レイヤから感じる圧倒的な闘気が膨れ上がってくるのだ。
「次は楽しませてやるぜ。お姫様方達」
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