第12話

「んだよ、レイヤ。お前前結婚したばっかりだろ?また新しい女を作ったのか?」


ガツンがこの世のゴミを見る様な目でレイヤを見る。


「別に新しい女ではないが」


「私はご主人様の奴隷です」


「かぁー!とうとう奴隷にまで手を出しちまったか。3人の嫁にも飽き足らず奴隷にまで手を出すと隅におけねぇ男だぜぇ。しかもまたど偉い美女だな」


捕まって奴隷にされたエルフ、アリスの美貌はリン達と負けないぐらい美少女と言えるだろう。ガツンはガビガビと言う事に嫌気がさす。


「うるせぇ!てか、注文だ!」


「へいへい。んで、今日はどうするんだ?いつものか?」


「ああ、いつものボアステーキ3つとトマトスパゲッティが1つ、大盛りサラダが1つでエール4つだ。えっと、アリスは何を食べる?」


「いえ、私はご主人様の奴隷の身です。ご主人様達の残りものでも構いまいせん」


「俺が構うわ。いいから好きなの食べな」


「えっと...わ、私は奴隷でして」


アリスは奴隷なのに自分の為の料理を頼んでくれる事に少し困っていた。レイヤはそんなアリスを見て頭を掻く。


「俺はお前を奴隷として扱う気なんてねぇ。だから、さっさと俺の隣に座ってくれ」


「ご主人様の隣に座るなんて、おこがましいです!私は床で座ります」


「アリス!」


「はい!」


レイヤに大きな声で呼ばれた事にアリスはビクリとする。


「もう一度言うぞ、俺はお前を奴隷としては扱わない。1人の女として接していくつもりだ。食べたい時は食べる、寝たい時は寝る、普通の女の子として生きろ。お願いはするが命令は絶対にしない」


「わ、私は奴隷です。ご、ご主人様がそ、そんな事は...」


もしかしてアリスは奴隷としての生活は長いのだろうか?


「ガツン、奴隷から解放するにはどうすればいい?」


アリスの手の甲には奴隷としての紋章が刻まれている。それを解き放てば奴隷としての意識が和らげるだろうとレイヤは考えた。


「あ?あー、うーん。確か2つある、1つは大金を払って奴隷商人に頼む」


今は生活に余裕はあるが、そこまでの大金は持ち合わせていない。


「なら、もう一つは?」


「払う額は減るが、その嬢ちゃんの結婚の儀をかわせば奴隷紋章が上書きされて消えるぞ?」


「けっ、結婚か...」


流石に好きでもないアリスは相手と結婚するのも可哀想だし、コツコツとお金を貯めるしかないのか。


「いいじゃん!レイヤと結婚すればアリスも自由な身になるんでしょ?」


「わ、私がご主人様と結婚ってそんなおこがましい事なんて...」


「もう!アリス!レイヤと結婚して、アリスとは奴隷としてじゃなくて友達として接したいの!」


訳1ヶ月前のリンはレイヤが他の人と結婚するのを嫌がっていた筈なのに、今は別人かの様に結婚を勧める。


「だから、アリスはもう奴隷として過ごさなくても良い。お前もう自由なんだ」


「自由...」


「そうだ、ほれ隣に座って好きなの頼みた」


「...はい、ありがとうございます。ご主人様!」


アリスはレイヤの隣に座り肩が密着するぐらいメニュー表を眺めていた。


「えっと...これを」


「おう、ガツン。あとグラタンを頼む」


「へい」


ガツンは厨房に向かった。レイヤはアリスを見ているとふと目が合ってしまった。


「えっと、末長くよろしくお願いします」


「おう」


...ん?末長く?あれ?


「良かったねアリス。アリスは第四婦人だよ」


結局アリスと結婚する事になったのだ。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る