第11話

「あの洞窟か?」


「うわ〜レイヤの言う通りなんかしてるよ」


盗賊達は檻の中に入っている魔物を使役していた。多分あの魔物で明日に襲ってくる冒険者達を殺そうと考えていたのだろう。そして盗賊の中にどこからか仕入れて来たのか分からない機関魔銃まで持っている。


「マシンガンまであるのですね」


「機関魔銃はドワーフの国でもある武装国が作った遠距離武器。結構厄介だよ...まぁ、ボク達には無意味かも知れないけど」


「カナデは絶対に俺から離れるなよ」


「分かりました」


そして潜入開始である。まずは見張りの2人組を処理をしないといけない。


「カナデちゃん、ボクが言った事覚えてる?」


「はい。水の精霊よ。******第二位階魔法『水の鎖ウォーターチェイン』」


すると、水の鎖が口を抑え体に巻き付いて行く。いきなりの攻撃に盗賊達は焦り出すが、拘束されてることに何も出来なかった。そしてレイヤが鞘にしまっている状態の刀で盗賊達に叩きつけ気絶させる。


「さてと、クロエ。中には何人いる?」


「土の精霊よ。*****第二位階魔法『探索サーチ』」


クロエは洞窟の中の状況を魔力で調べる。


「うーん、30人以上はいるとおもう。この中に奴隷として捕まった子は何人かは分からないけど」


「いや、ある程度の人数が知れれば十分さ。リン、作戦は?」


「突破あるのみ!」


「了解!」


「え?!見張りを倒した意味はどうしたのですか!」


レイヤはカナデを担いで、リンとクロエと共に堂々と真正面へと洞窟の中に突入する。


「な、何もんだ貴様らは!」


「冒険者だ」


「なっ?!なぜだ!作戦は明日のはずだろう!」


「だと思ったよ」


やはり情報が筒抜けだったのは冒険者の方だった。


「クソ!放て!!」


「無意味」


離れた矢は全てクロエの特殊魔法で飲み込んだ。ここでクロエのスキルを確認をしよう。


ーーーー

・神速

・魔法強化(特大)

・魔力覚醒

・魔力削減

・全属性耐性


・EXスキル

魔導神マジックエビル

ーーーー


クロエが使ったのは影魔法だ。影で盗賊達の矢を飲み込んだのだ。クロエは2本の黒い短剣を構えて次々と盗賊を斬りつける。リンもクロエと劣らずに圧倒していた。


「やっぱり凄いですね」


「カナデも修行をすればああなるぞ」


「頑張ります!」


するとカナデを担いでいるレイヤを盗賊が襲うが、レイヤはその盗賊の顔面に蹴りを入れた。


「んで、ブフって奴はどこにいる?」


「ウルセェ!お前らなんかにブフ様の居場所を吐くもんか!」


「そうか。カグラザカ無刀流指神ししん


「がぁぁぁあ!!」


レイヤが盗賊の心臓部分を指で貫いた。相当な苦痛に盗賊の悲鳴はアジトの中を響き渡るレベルだった。


「んで、ブフ様とやらはどこにいる?」


喋れる様に痛みを少し和らげる。


「ああああ!!し、下です。地下室の牢獄の奥にいます」


「よくがんばりました」


レイヤは指を抜くと盗賊は眠るように気絶をする。

レイヤ達は下の階に降りていく。レイヤはいきなりドアを蹴り飛ばし部屋の中に入る。


「な、何事だ!貴様らここは立ち入り禁止だぞ」


中に居たのは小ぶりのおっさんが鎖の枷を首に付けられている女性達に番号の様なものを書いていた。


「アンタがブフさまかい?」


「そうだ!この私がブフだ!」


「そうか、俺達は雇われた冒険者だ。アンタを捕まえに参上した」


「ぼ、冒険者?!あ、ありえぬ!冒険者は明日に来ると言う情報だ」


「まんまとアンタらの作戦に引っかかると思うなよ?」


「がふっ」


レイヤは一瞬でブフの間合いを詰めて、鞘にしまった状態の刀でブフを壁にまで叩き飛ばした。


「凄いですね。これがホームランですよ」


レイヤの肩に担がれているカナデは訳の分からない事を言いながら楽しそうな様子。


「よし!リン、クロエ全員救出するぞ」


レイヤ達は捕まった奴隷達の救出を行なった。奴隷達は汚れていたり恐怖を覚えている者が多いが、幸い売り物として手は出されていなかった。


「...」


レイヤはある奴隷に視線が止まる。1人だけ落ち着いた様子で地面に正座をしているエルフが居たのだった。エルフは集中しているのか目を瞑っている。レイヤが近づくと目を開けてレイヤの顔をジッと見る。


「あなたも盗賊の仲間ですか?いえ、そうは見えませんね」


金髪で腰まで伸びているストレートロング。そして目の色は空の様な青い瞳。


「えっと、俺は君達を助けに来た冒険者だ」


「そうですか。貴方でも構いません。私は国から捨てられた身です。帰れる場所もありません。私を奴隷として自由にして下さい。その代わり私の居場所を作って欲しいです。ご主人様」


「へ?ご主人様?」


「はい、貴方が私のご主人様です。よろしくお願いします」


「ええぇ〜」


レイヤ達は新しい仲間が出来たのだった。

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