第6話

「これで運び屋としての試験を合格致します」


「ありがとうございます」


カナデは受付嬢に深く頭を下げる。カナデが選んだ職業は運び屋なのだ。運び屋の役割はパーティの人達の荷物を持ったり、討伐部位を持ち帰ったり、料理を振る舞ったりする役割なのだ。


「本当に運び屋で良かったのか?」


「はい、今の私じゃ剣士はまだ心細いですし、ちょうど空間倉庫アイテムボックススキルをお持ちなので運び屋が丁度良いと判断しました」


「まぁ、カナデがそう思うならそれで良いよ。次は剣を買わないとな。カナデはどんなの使うの?」


「レイさんみたいな日本刀であれば」


「ニホントウ?この刀の事か?分かった、鍛冶屋にでも行ってみようか」


カナデの武器を探しに近くの鍛冶屋にまでに足を運ぶ。


「店主、刀は置いてあるか?」


「刀?聞いた事ないのう」


「こんな感じの武器なんだが」


レイヤは店主に刀を見せる。


「これは見た事ないな。どれ、似たようなモノならこれはどうだ」


店主が見せてきたのは細剣だった。確かに刀は細いが細剣は斬るより、突きの方が特化している。奏は細剣を受け取り刃を見る。


「綺麗な刀身ですね。レイさん、これにします」


「それで良いのか?刀とは違うぞ?」


「レイピアって言うのでしょうか?私が教わった流派は突きを特化したモノなので、丁度いいです」


そしてある程度の革製の装備を買ってから、新しい依頼を受けに向かった。今回の依頼はスライム退治だ。スライムの中心にある核を10個集める依頼だ。


「す、スライムってあれか?」


ギルドから支給されたスライムの絵を見ながらスライムを探していた。目の前に居たのは半透明なぷよぷよに動いている生き物だった。


「どうやら、あれがスライムみたいですね」


「普通に斬っちゃえばいいのかな?」


するとリンはいきなり飛び出して下から上へとスライムに向かって剣を振り上げる。だが、あまりにも柔らかさにスライムは斬れずにそのまま吹き飛ばされてしまう。


「えーー!斬れない。結構切れ味は自信あったのに」


「俺もやってみるか」


次はレイヤもスライムを斬ろうとするが、リンと同様に切れなくカナデも突き刺そうとするが、貫通は出来なかった。


「あ!思い出しました!」


するとカナデは何か思い出した様子。


「確かクラスの人は、スライム?って言うモンスターは火が弱点と聞いた様な」


「火?リン、ちょっと燃やしてくれないか?」


「うん!」


リンはスライムに向けて手を翳すと、黄金の炎がスライムを焼き付ける。


「あっ」


あまりにも強力な炎にスライムの核まで燃やしてしまった。


「普通の炎が欲しいな」


「あの〜、魔法の使い方を教えて頂けば私がやりますが」


確かにカナデのスキルには魔術補正のスキルが存在するが、あいにく2人は詠唱を必要としない特別な魔法を使っているが、七大魔法を発動する為の詠唱を知らなかった。


「炎の精霊よ。*****第一位階魔法『ファイヤ』で発動する」


「「「え?」」」


森の奥からフードを普通の深く被った女性の声の人物が歩いてきた。


「ほら、言ってごらん。その子は魔法を簡単に発動出来そうな雰囲気がする。ちゃんと炎を出すイメージで唱えて」


「あっ!はい!えっと、炎の精霊よ。*****第一位階魔法『ファイヤ』!」


するとカナデの手のひらから炎がスライムを襲う。


「わっ!凄いです!これが魔法ですか!」


「そう、それが魔法。貴方凄い。一発で魔法を成功するなんて才能あると思う」


女性はフードを脱ぐと青紫色の瞳に黒髪ミディアムヘアーに青のワンポイントメッシュに犬の耳がある獣人族だった。


「いや〜、助かったよ」


このままじゃ依頼失敗する所だった事に、助けをしてくれた事にレイヤは感謝の言葉を送る。少女はレイヤの方に視線を移すと、ピンッ!っと耳を立てて目を大きく開くのだ。


「見つけた」


「え?」


すると、少女はレイヤの間合いに容易く近づき服を引っ張ってキスをしだした。


「「はぁ!!!」」


後ろにいたリンとカナデはいきなりの事に怒りの感情が入った驚いた声を出す。


「なっ、なっ、何してんだよ」


「一目惚れ。ボクの主人になってよ」


「は、はっ?!しゅ、主人?」


「うん、夫になって」


「ちょっと!!あたしだって出会ってからキスするまで3年もかかったのに!ふざけんなぁ!」


リンは2人を引き離そうと間に割ってきた。レイヤは未だ状況を掴めずに顔を赤くして口をパクパクと動かしていたのだった。










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