第2話

「んん〜〜」


レイヤは起き上がりベッドの上で背伸びをする。隣で寝ているリンにモーフを掛け直し赤い髪を撫でてから立ち上がる。


「あら、見た目に反して随分と早起きね」


部屋から出て下の階に降りると、宿主でもある少し小太りなオバさんが椅子に座っていた。


「女将さん、体を動かせる庭とかあるか?」


「庭かい?そのドアから出れば少し広い庭はあるぞ」


「借りても構わないか?」


「魔法を使ったり、荒らしたりしなければ自由に使ってもいいぞ」


「感謝する」


レイヤは庭から出て腹筋や腕立て、庭の周りを何十周か走った後に腰に刺してある、刀を鞘から抜かずに素振りをした。これがレイヤの日課だった。


「レイヤくん」


何時間か経つと宿主のオバさんが声を掛けてきた。


「そろそろ朝食の準備が出来るから、嫁と一緒に食べてきなさい」


「ああ、もうそんな時間か」


レイヤはタオルで流した汗を拭いて部屋に戻る。


「レイヤ、おやよう〜」


リンは朝に弱く今だ寝ぼけていた。


「うん、おはよう。水浴びしてくるから、それから朝食を食べよう」


「うん、いってら〜」


リンは目を擦りながらレイヤに手を振る。

レイヤは水浴びをしてからリンを呼び、オバさんが作った朝食を食べてからギルドに向かって行った。


「いらっしゃい」


レイヤ達は受付の前までに歩いた。

何故か他の冒険者達に見られていたのは少し気になる。ここは他の冒険者に見られているせいか、マルクスの言う通りに舐められない様に堂々と話す。


「ぼ、冒険者になりたく来た」


「何、ちょっと緊張してるのよ?」


横でリンが小声で呟く。受付嬢はニコニコと資料を出してきた。


「冒険者登録ですね。こちらの紙に名前と種族、職業を書いてください。職業には戦士、魔法使い、格闘家、回復術師、守護者、射撃者、密偵、召喚士、付与師、暗殺者、運び人の計11種を選べます。各々似合った職業を選んで試験を受けて下さい」


受付嬢の言う通りに紙に名前を書いて試験を受けた。2人とも戦士を選んだ。リンは剣と共に魔法を使い、レイヤは殆ど武器で戦う事が多いがリンと同様に魔法と少し違った魔法で戦う。


「それでは、試験を始めてください」


レイヤとリンは剣を持って試験を始めた。あっさりと課題をクリアして戦士の職業となる。


「2人はパーティを組みますか?それでしたら、あと2人必要となります。パーティは4人から10人までとなっています」


冒険者の殆どの依頼は数人でしか達成出来ないものばかりだ。実力があれば1人でも達成できるが、殆どの冒険者は不可能だ。それに、依頼人も名がある冒険者以外にソロの冒険者に依頼を受けさせたくない依頼人も多い。そして受付嬢は冒険者カードを渡す。


ーーーー


名前:レイヤ 種族:人族ヒューマン

職業:戦士 ランク:F


ーーーー


「この、ランクって何?」


リンは受付嬢に尋ねる。


「ランクと言うのは、自分が成し遂げてきた偉業の証です。ランクが高い程指名依頼が入る事が多く、そのランクに認定された依頼も受けられる様になります」


ランクにはFからE→D→C→B→A→S→SSの8段階だ。SSランクは世界で4人しか存在しない化け物の領域だそうだ。


「んじゃ、まずはこのゴブリン退治をしてみるか」


今は少しでもお金を稼ぎたかった。まずは最初に薬草捜索がおすすめと受付嬢に言われたが、レイヤ達はそう言ったモノが苦手でゴブリン退治を勧められた。

 ゴブリンとは緑の肌をした小柄な鬼なのだ。知能は低いが、武器を持ったりずる賢い事もする。

レイヤ達は街から出る際にマルクスに挨拶しに行ことしたが姿が見えなかった。それから2人は森の中に入りゴブリンを探す。


「お!いたいた」


2体のゴブリンが目の前に歩いていた。レイヤとリンは同時に動いて2体のゴブリンを真っ二つにする。討伐部位としてゴブリンの右耳をナイフで切った。


「5体倒すのが目的だから、残り3体だな」


「はぁはぁ、た、助けてください!」


「え?」


すると、森の奥からサラサラと綺麗な黒曜のロングヘアーに黒い瞳をした少女が飛び出してきた。




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