朝夜の眷族に終焉を。
@mactya_
第1話プロローグ
「○△□×ー、△△×□○ー。さあ、どちらを選ぶ、人の子よ」
神様から選択肢が告げられる。
真っ白な風景が広がる無機質な空間に重いなにかがのしかかるような感じがした。
沈黙が続く。その永遠に続くかのような沈黙を少女が破った。
「君と最後にもう一言でいいから話したかったなぁ」
そう呟きながら膝の上に寝る少年の顔を撫でる。
「私のために……ありがとう。ここまでたくさん支えてくれたし、次は私の番だよね。どんな選択でも君なら許してくれるよね」
少年が微笑んだように思えた。
「おばあちゃんが言ってたことは本当だったなんて、今の今まで全く信じられなかったなぁ」少女は苦笑を漏らしながら少年の顔を見て、
「でも、今おばあちゃんがいるってことはそういうことだよね」
少女は顔を上げ神に告げた。
「私は…………」
神は口角を上げて、
「ほう、その心は?」
と、少女に問う。
少女は一度深く息を吸い、
「次はきっと私の番だから」
「その程度の覚悟で悔いはないのか?」
神は重ねて問う。
少女は再び少年の顔を撫でて、
「うん、悔いはないよ。だって彼がいなかったら今この瞬間生きてるとは限らないし、彼なら何があっても覚えててくれる。それだけで私は満足なんだ」
そう言って少女は微笑んだ。
「その覚悟、素晴らしい。禁忌を犯し、世界を覆し、もし本当に少年が覚えていたのならば、其方らに再びチャンスを与えよう。その時は再び2人でここに戻って参れ」
神がそう告げた時眩い光に世界が包まれた。
少年と少女が居なくなった神が1人で呟く、
「さて、次はどうなるだろうか。どのようなルートでここに戻ってくるのだろうか。あの2人なら絶対にやってくれるはずだ」
自虐気味に笑った。
「でも、おそらくどのルートで来ようと最終的な結果は決まってしまっている。自分の代でこの運命を変えられなかったことこそ、真に悔いるべきことだ。間に合わなくて本当に申し訳ない。でも、なるべく最前の手は打つ。だからここに再び戻ってきてくれ」
神はそう願った。
「はは、神でもこうやって願うことがあるんだな」
自分でも驚いた。
その頃、世界から朝という概念、そして1人の少女から光が消え、全人類の記憶は書き換えられた。、
朝夜の眷族に終焉を。 @mactya_
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