第二話 あぜん
「まじかよー!」
僕の転んだ後の第一声はこれであった。
なんと売店数量限定のメロンパンが一瞬にして粉々になっていたのである。
「ほんとにごめん...まぁいいでしょまた買えば!」
「いやもうないんだよ!てかそういう問題じゃないだろ!」
「ふふふ、このメロンパンを買っているうちはまだまだなんだよ君は...」
「じゃあ何が正解なんだよ!」
「あの端っこにあるから揚げパンだよ、。」
この時、反省していなくて、挙げ句の果てにはなんとbreadマウントまでとるようなので僕のプライドが許さなかった。
「じゃああんたは何年この売店パン買ってんだよ!?俺はうんこ理事長呼ばわりされてからここのパンに渋々お世話になってもう一年だ!」
誰が見ても言い返せない完全勝利だと思い、回答を楽しみに待った。
しかし、その回答は思っていた30倍程度軽く頭を越していたのである。
「ここ私立じゃん?中高一貫だから今高2だから5年だね!」
そう、僕は高校という小さな世界でしか私は話を進めていなかったのである。
「てか、君の名前は?」
「私は2年C組の蘇我真人、君は?」
「私は2年A組の市川瑠奈!よろしく!」
女子と話すなんていつぶりだろうか。
少し優越感に浸りながら彼女と同時に立ち上がった。
「じゃあ、また会ったらよろしく!」
そう言って僕の本当の正体を知らずに笑顔で去っていった。
それからのことはごく普通だ。
漫画のように出来事がポンポンと起こることはないみたいであの時の出来事をリピートする毎日だった。
いつも通り遠距離からの悪口が飛んできてそれを寝てるふりで防御するめんどくさい日常だ。
しかし、その生活が変わる時が来たのである。
「がしゃん!」
ドアが普通ではありえないほどの威力のある音がなり、教室の生徒全員の視線がそこへと集中した。
僕もそっとそちらに視線を向けるとそこには見覚えのある少女が見えたのだ。
「蘇我真人!絶品を作るための私のパートナーになりなさい!」
そうすると次はこちらに全体の視線が向いた。
それも全員が嫌な顔をしてだ。
気まずく、しゃしゃり出るのを妄想すると嫌な予感がしたのでとりあえず知らないふりをした。
そうすると険しい顔でこちらにどんどん近づいてきて、僕の机の前でこう言った。
「無視すんなボケェぇぇい!!」
今までの明るくて可愛い系女子から強気で剛力系の怖い系女子になったので、キャラ崩壊もいいところだ。
「とりあえず講堂に来い!」
瑠奈を強引に引き寄せ高校生活で1番のダッシュで目的地へと向かった。
「なにしてるの?」
疑問と怒りと焦りのトリプル感情にどこか懐かしさを感じていた。
「ごめんごめん、急にあんなこと言って、
でも無視するのはなくない!?」
「こっちにも身分というものがあるしカースト最下層の俺からしたらあんなの罰ゲームのレベルじゃ治んないし」とりあえず最悪なんだよ。
帰ったらどんな対応を取ればいいかというクラスメイトからの発言予想をして冷や汗がシャワーのように出ていた。
「なんでそんなに汗かいてるの?」
「お前は天然か!いや、そもそもあんなことしてる時点でそうだよな...」
一旦落ち着きを入れて原点に戻った。
「てか、要件はなんだよ!」
「良くぞ言ってくれました!そう、この瑠奈料理人のパートナーになってください!」
思いもよらぬ答えに唖然の二文字が真っ先に浮かんだ瞬間だった。
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