第2話
あれからずっと頭から離れずにいる。
『気持ちの逃げ場所』
それは俺にとって、どういうものなのだろうか。
チビの言う通り、仲間にはとても恵まれている。
寂しさや虚しさを感じずに今まで来れたのも、仲間のおかげだ。
チビにも何度も助けられてきた。
それに慣れてきてしまったのだろうか。
「悪いことではないと思うけど…」
仲間の中ではチビと同じくらい若いボクが、考えながら話し始めた。
「僕も仲間がいるし寂しくない、って思ってたんだ。
でも最近、ちょっと変わってきたんだ…。」
ポツリポツリと話すボクの横顔は、真剣そのものだった。
いつもの幼さが残る表情の中に、『男』の部分を見た気がした。
「うまく言えないんだけど…。
仲間には仲間にしか見せない顔が自分にもある気がするんだ…。
フッと1人の時に、なんかすごく寂しくなる時が最近よくあって…。
あー、こういう時にそばに誰かがいて欲しいって思うんだなぁ、ってなんか分かった気がして…」
普段饒舌なボクの、辿々しい話を聞きながら、確かに自分にもそんな時がある事を思い出した。
そんな時、いつも俺はどうしていただろう。
ふと考える。
何も考えずに済むよう、いつもアルコールで誤魔化していた気がする。
DVDを見たり好きな音楽を聴きながら、程よく酔えたらそのままベッドへ倒れ込む、その繰り返しだった。
そうか…。
俺は本当はいつも、寂しさを感じていたのかもしれない…。
改めて自分の行動を考えて、今更ながらその事に気づいた。
いつからこんな風になったのだろう。
ボクと別れてから、しばらく考えてみた。
いつだったか思い出せないほど、遠い昔のような気がする。
恋人と呼ばれる相手がいても、俺はいつもどこか寂しかったのかもしれない。
本当に心を許した相手がいたかどうか、今となってはわからない。
それほど俺は、俺の心は渇いていたのだろうか…。
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