第2話 護衛クエスト 

 

 俺は、街の中を歩きながら、ボソッと呟いた。


「はぁ、これからどうするか......」


 今まで積み上げてきた冒険者ランクも最底辺に落ちてしまった。


(なんで、俺なんだよ......)


 今までパーティのために頑張ってきた。足を引っ張ってきたとも思っていない。それは、現にあいつらも行動から認めていたじゃないか。


 そう。もし、本当に足を引っ張っていたらパーティからすぐに追放していたに決まっている。それなのに今更追放なんて言われるのはあんまりだろ。それに加えて、冒険者ランクも落とされた始末。


 つい先ほどのことを思い出すと、徐々にクルトたちに怒りを感じる。


「絶対に見返してやる」


 俺は決意して、これからやるべきことを考え始める。


「まずは実績からだよな」


 見返すと言っても、何を見返せばいいのか分からない。だったら、同じギルドに所属しているのだから、俺の実力を証明してやればいいと思った。


「よし。まずはクエストを受けに行くか」


 そこから一時間ほど作戦を練ってギルドへ向かった。ギルド内にクルトたちはいなかったが、先程の光景を見ていた人たちがちらほらといて、俺を見ると笑い始めていた。


(クソ。絶対に見返してやる)


 クエストボードに張られている内容を見る。だが案の定、低ランクが受けられるクエストは薬草採取や地域住民の手助けばかりで、すぐにランクが上がりそうなものはなかった。


「まずは、薬草採取かなぁ」


 俺はそう思いながら依頼書を手に取ろうとした時、受付嬢の人が俺に話しかけてきた。


「ギルバートさん!!」

「はい?」


 受付嬢の方を見ると手で招かれていたため、ついて行く。そして、カウンターの目の前にたどり着くと、一枚の依頼書を見せてきた。


「お節介かもしれませんが、もしクエストを受けるならこれなんてどうですか?」


 俺は依頼書を見ていると、そこには明日行われる護衛任務と書かれていた。だが、クエストランクはB相当となっており、俺には到底受けられる代物じゃなかった。


(この人も俺を嘲笑うために言ったのか......)


 ため息を依頼書を帰そうとしたら、受付嬢が言う。


「依頼書だけ見ると、ギルバートさんのランクで受けることはできませんが、荷物持ちということで同行することはできます」

「荷物持ち?」

「はい。護衛任務ですので、戦闘をする人とそうでない人で別れます。本当なら荷物持ちは商人ギルドに任せるのですが、いかがでしょうか?」


 一瞬迷った。なんせ、冒険者で荷物持ちなんてする人はいないし、一応はSランクパーティに所属していた身からすると、プライドが許せなかった。


 だが、すぐ我に返り、そんなことを言っていられる状況ではないと理解して頷く。


「......。受けます」

「わかりました。では準備のほどをよろしくお願いいたします」

「ありがとうございます」


 俺は受付嬢に負荷深く頭を下げて、すぐさま護衛任務の準備を始めた。そして、あっという間に翌日になった。


 依頼書に書かれている場所に向かうと、そこにはBランクパーティの三人とCランクパーティの二人が待っていたため挨拶をする。


「ギルバート・エルメスです。よろしくお願いいたします」


 すると、俺を見た冒険者のみんなが笑い始めた。


「Sランクパーティが荷物持ちまで落ちぶれるのかよ」

「だな~。でもレベル1だろうと普通の荷物持ちよりかは強いだろうしいいんじゃね?」

「精々、足を引っ張るんじゃねーぞ」

「は、はい」


 俺は唇を嚙みながら、みんなの罵声を我慢する。そこで、みんなが軽く自己紹介をしてくれる。Bランクパーティは平均レベルが20でCランクパーティが15程度であった。

 

 そして、十分ほど経つとフードを被った依頼主が到着した。


(この人、何かのスキルを使っている......)


 そうは思いながらも、何も聞かずに隣国の護衛が始まった。


この時の俺は、これから起こる事件がどれだけ危ないことなのか理解していなかった。

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