第13話

夏休みに、一美ちゃんといっしょにヨーロッパへ美術館巡りに行った。

パリでルーブル美術館やオルセー美術館に行く。

オルセー美術館にある、カバネルさんや、ブーグローさんの描いた「ヴィーナス誕生」の絵を2人とも大好き。

2人で、この2つの絵をいつまでも、ずーっと観ていた。


フィレンツェのウフィツィ美術館でも、2人で、ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」などの名画をずっと観ていた。良き絵画や彫刻いっぱいある。


パリ郊外に戻って、ディズニーランドに行ってから、大阪に戻った。


一美ちゃんに

「ボクの部屋の霊は、伊勢さんと関係あるのかなあ~?」

って、聞いてみた。

「どうやろなあ。伊勢寺に行ってみようか」

って言われて、2人で久しぶりに高校の近くの伊勢寺に行ってみた。

2人を歓迎してくれてるような雰囲気だった。


2人で歩いてたら、木陰から、丸い手毬、コロコロと、2人の足元に転がってきた。

一美ちゃんは、その手毬をひょいと拾い上げて、木陰に投げ返した。そして

「あの手毬のあとをついて行ってみよう!」

って一美ちゃんに言われて、2人で木陰に入って、手毬の転がっていくほうへと、追いかけて行ってみた。

手毬は、小さな家に転がっていった。

家の中から着物姿の、ちっちゃくて可愛い女の子、出てきた。手毬を拾うと

「ありがとう」

って、一美ちゃんとボクにお礼を言った。

「絵は描いてる?」

って、その女の子はボクに言った。

「描いてるよ!」

って答えたら

「そう。それは良かった。絵は、ただ描くだけじゃなくて、気持ちも大切だからね」

って、お師匠さんのような感じで、言ってくれた。

「あっ、はい!いつも、意識を高く持って、絵に接しています」

って返した。

女の子は、めっちゃ嬉しそうに笑っている。

一美ちゃんにも

「お久しぶりです」

って言っていた。


「知ってるの?」

って、一美ちゃんに聞いてみたら

「たぶん。知ってるんだと思う...昔から」


「会いに来てくれて、どうもありがとう」

って、女の子はボクと一美ちゃんとに言った。


「あの...ボクの部屋に、夜とかに、よく来てくれていますか?」

って、女の子に聞いてみた。

女の子は笑って

「ふふふ、あなた高校生になって、また近くに来てくれたから、めっちゃ嬉しかったのよ」

じゃあね、って言って、女の子は家の中に戻って行った。


一美ちゃんとボクは、来た道を戻って行った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る