第10話
庭で見つけたお人形さんは、きれいに洗って、部屋に置いてある。
学校から帰って、部屋で、そのお人形さんを見ていると、なんとなく、お人形さんは体をボクのほうに少し動かして、ボクを見ているような気する。可愛い笑顔をボクのほうに向けてるみたい。
ある日、念を込めて、そのお人形さんに
「こっち向け~」
ってパワーを送ってみた。
そしたら、ズズッと、ほんのちょっぴり、ボクのほうへと動いた、ような気した。
夜、寝てたら、夢の中で、ボクは同じように、お人形さんに
「こっち向け~、こっち向け~」
って強く念じていた。
お人形さんは、ボクのほうを見ると、嬉しそうにピョンと、ボクに向かって飛んできた。
夢の中のボクは、お人形さんを優しく受けとめていた。
ふと、目覚めて
「ああ、やっぱり夢だったのかあ~」
って思って、部屋にちょこんと置いてあるお人形さんを見てみたら、ほんのちょっとだけ動いて、ボクのほうを見たような気になった。
高2の時に、修学旅行で富士山に登った。
頂上付近に大きな鳥居、立ってて、そこをくぐったら、急に真っ白な霧、立ち込めてきた。辺り一面、霧で真っ白で、まわりの景色も友達も、みんな見えなくなった。
ふと、後ろに人の気配を感じて、振り返って見たら、一美ちゃんだった。
「うわ~、一美ちゃん~」
「あやめっち~」
2人は、真っ白い霧の中で抱き合った。
数分したら、白い霧も晴れたから、2人で手をつなぎながら、富士山を降りていった。
不思議なことに、まわりに、誰もいなかった。
「おかしいね~」
「なんで、誰もいないんやろな~?」
って言いながら、降りていってたら、下から、ゆなちゃん先生の大きな声、聞こえてきた。
「2人とも、どこ行ってたん?みんなで探してたんやで~」
「あっ!ゆなちゃんや~!どこって、白い霧の中に数分間いただけやんな」
「そうやんな」
って一美ちゃんとボクは答えたら
「何、言ってるの?2~3時間みんなで探してたんやで!」
「ええ~?」
「まあ、ええから!ちゃんと2人とも出てきて、先生もホッとしたわ!宿舎に行くで」
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