第6話
同じクラスに、川瀬一美ちゃんっていう、めっちゃ可愛い子いる。
ちっちゃい頃から、お姉ちゃんといっしょにピアノを習っていて、ピアノ弾くの、めっちゃうまい。ギターも、いろんな種類のをたくさん持っている。
ボクも、文女と書いて、あやめっていう名前だけど、その子も、一美っていう名前で、いちばん美しいって書くから、いいなあ~って思ってた。
ピアノのめっちゃうまいことだけは、ボクは、どうやったって、一美ちゃんには、かなわない。ギターをめっちゃうまく弾けるところも、ボクは、かなわない。
だから、なおさら、一美ちゃんに、憧れるのかもなあ~って思う。
しかも勉強も良く出来る。どちらかと言うと理系に進むみたいだ。
お笑いも好きだから、授業中でのボクの発言にも、一美ちゃんは、いちばんに反応してくれて、めっちゃ笑ってくれている。だから、ボクも、ますます、みんなを笑わせるような発言をしようと考えてる。
一美ちゃんも自転車通学だから、よくいっしょに帰っている。
一美ちゃんも、伊勢寺のあたりを自転車で通ると
「なんとなく、この辺、めっちゃ気になってしまうのよね~」
って言ってる。
「伊勢さんのこと好きなの?」
「百人一首の中でも、ちっちゃな頃から伊勢さんのこと、好きだったよ~」
「うわっ、ボクといっしょやんっ!」
一美ちゃんも、伊勢さんのこと好きみたい。
一美ちゃんと2人で伊勢寺に行くと、風もないのに、急にあたりの草木も、サワサワ音をたてて揺れだす。晴れてるのに、フワーッと一瞬、空から細かい霧雨のようなもの降ってきて、またすぐ晴れわたる。
2羽のちっちゃな鳥も、ボクたちの足元に飛んできて、しばらく、いっしょに歩いている。
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